大相撲の「一門」とは?一門の成り立ちと役割について解説

相撲の話題のなかで「一門(いちもん)」という言葉がよく使われますが具体的にはどのようなものかはご存知でしょうか?

なんとなくグループとして集まっていることは分かると思いますが、どのように生まれて、どんな役割があるのかが分かればもっと相撲のことが楽しめるはずです。

そこで今回は大相撲の一門について解説していきます。

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大相撲の一門とは

大相撲の一門とは、基本的に縁続きになった複数の相撲部屋を総称して使われます。縁続きというのは、ある相撲部屋に所属していた年寄が独立して新しく部屋を興すことで本家と分家という関係が生まれて縁続きになるわけです。例えば「出羽海一門」と言えば出羽海部屋から派生した部屋の集まりだと考えればいいでしょう。

ここ数年で分家した部屋でみると、元大関・琴欧洲の鳴戸親方佐渡ヶ嶽部屋から分家して興した鳴戸部屋は、佐渡ヶ嶽部屋が属している二所ノ関一門であり、田子ノ浦部屋から独立した西岩親方(元関脇・若の里)が興した西岩部屋も二所ノ関一門です。

また、元大関・雅山の二子山親方が藤島部屋から独立して立ち上げた二子山部屋は藤島部屋と同じく出羽海一門に属しています。

このように本家の二所ノ関や出羽海からみると子や孫のように部屋が連なって縁続きになっていくわけですね。

ただし、大相撲の歴史はとても長く、部屋の移り変わりも激しいために、現在は必ずしも縁続きでは無かったり、一門の名称になっている部屋が必ずしも本家ではないこともあります。このあたりについては、二所ノ関部屋の記事でもご紹介しています。

二所ノ関部屋に所属した力士たち オススメ!

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大相撲の一門の数と名称

それでは、まず大相撲にはどのような一門があるのかを見ていきましょう。現在、大相撲の世界には5つの一門があります。

  • 出羽海一門
  • 二所ノ関一門
  • 時津風一門
  • 伊勢ヶ濱一門
  • 高砂一門

少し前までは貴乃花一門が存在していましたが、ご存知のとおり一門は実質解散となり阿武松グループを経てこれも消滅、それぞれの一門へと所属することになりました。

また、従来は一門に属さない「無所属」も認められていましたが、平成30年7月の理事会で一門に関する規定の明文化が議論され、9月27日の理事会までに各親方はいずれかの一門へと帰属することが義務付けられたようです。

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一門の役割とは何か

では、次からは大相撲の一門はどのような役割を持っているのかをみていきましょう。

一門による連合稽古

まず、同じ一門の部屋が合同で行う、通称「連合稽古(れんごうげいこ」と呼ばれる稽古があります。これは、複数の部屋の力士がひとつの相撲部屋に集まり、本場所に備えて合同で行う稽古のことです。連合稽古をどの部屋で行うかは部屋同士で申し合わせて順番に受け持っています。

普段の稽古では互いの手の内を知り尽くした同部屋の兄弟弟子同士の稽古ですが、この連合稽古では違う部屋の力士と稽古が出来るため、刺激もあり充実した稽古をつむことができます、

また、同部屋の力士とは本割で対戦が組まれることはありませんが、同門の力士同士は対戦が組まれるため、本場所で対戦する可能性がある力士と稽古が出来るのもメリットのひとつです。ここで対策を講じたり自信をつけることで、本場所での対戦を有利にすすめることが出来るのです。

付け人の融通など

十両以上の関取になると、その力士には付け人(つけびと)と呼ばれる幕下以下の力士が複数配属されることになります。付け人たちは関取のまわしのつけ外しを補助したり、取組前のウォーミングアップのお供をしたり、土俵外では掃除に洗濯、入浴からお使いにと実に様々な身の回りの世話を担当します。

この付け人という制度は単なる世話役だけではなく、関取とじかに接することによって相撲の様々な仕来たりを学ぶ目的があります。関取との稽古や動きに所作を間近でみることにより、付け人本人にとっては力をつけるチャンスにもなるのです。

しかし、所属力士が少ない相撲部屋では自分たちの所だけでは付け人が足りない場合があります。そこで、同門の部屋から付け人要員を融通してもらうことがあるのです。

これは貸す側にとってもメリットがあります。と言うのも、関取はすべての部屋にいるわけではなく、貸し借りがなければ付け人を経験できる力士も限られますが、一門内で付け人を融通することによって、より多くの力士が付け人を経験出来るのです。

弓取り力士も一門内から

また、力士の融通は付け人だけではありません。通常、弓取り式を担当する力士には、横綱が所属する部屋の幕下以下の力士が据えられますが、適切な力士が部屋のなかに居ないこともありえます。そこで、同門の力士が起用されることもあるのです。

最近の例では平成30年3月場所から弓取り式の力士が代わったことがいい例でしょう。

これまでは伊勢ヶ濱部屋の聡ノ富士が弓取り式を担当していましたが、3月場所からは時津風一門である中川部屋の春日龍に替わりました。これは日馬富士の引退による影響だと思われます。

引退直後の1月場所では横綱・白鵬が所属する宮城野部屋も伊勢ヶ濱一門ではある為、そのまま聡ノ富士が担当しており、予定では5月場所で交代することになっていました。

残る横綱は鶴竜と稀勢の里ですが、鶴竜の所属する井筒部屋は力士も少なく弓取り力士を提供出来ませんでした。そこで時津風一門の同門である中川部屋から、巡業では弓取り式の経験もある春日龍が抜擢されたようです。

ちなみに聡ノ富士のコメントによると、5月場所からの交代予定が3月場所に急遽繰り上がったようで本人も知ったのは直前だったようです。

行事ごとや冠婚葬祭での協力

相撲部屋を人に例えてみると、一門は親戚に例えることが出来ますが、親戚同士といえば冠婚葬祭は切り離せませんよね。これと同じで、相撲部屋での冠婚葬祭や行事ごとは同門同士での協力が欠かせません。

力士の結婚式などはもちろんですが、昇進披露や断髪式、横綱の綱打ち式や部屋開きの準備など、力士や裏方さんが駆り出されることになります。

ちなみに行事ごとの準備は主に部屋に所属する行司さんが担当することになっており、同門内で経験豊かな者がいると重宝がられます。

相撲協会から助成金が支給される

一門に対しては相撲協会から毎年、助成金が支給されることになっており、一門の責任者は受け取った助成金を各部屋に分配します。この支給額ですが、かつては各一門に対して一定額が支給されていた時期もありましたが、平成14年度頃からは所属する親方衆の数によって額を変動させる「分配額変動方式」に切り替わっているようです。

この助成金は一門を対象としているため、一門に属していない無所属の相撲部屋には支給されません。

また、単にいくつかの部屋が集まっただけではダメで、相撲協会に「一門」として認められる必要があります。

例えば、平成22年(2010)頃から貴乃花部屋を中心に阿武松部屋や大嶽部屋などが集まり、無派閥の「貴乃花グループ」を形成して合同稽古などを行っていましたが、当初は相撲協会に一門として認められていませんでした。

ようやく認められたのは平成26年(2012)になってからで、相撲協会が貴乃花グループに対して助成金を支払うことが決まり、同グループは「貴乃花一門」へと名称を変更したのです。

しかし、平成30年(2018)4月に貴乃花親方が貴乃花一門の名称変更を一門の親方衆に申し出ました。その後、貴乃花部屋は一門からの離脱を表明、立浪部屋も同じく離脱し無所属となりました。

残された3つの部屋は阿武松グループとして活動していましたが、これも相撲協会の「無所属を認めない」という方針変更により出羽海一門や二所ノ関一門への帰属が内定しています。

理事は一門の代表

相撲協会の理事と副理事は選挙によって決まりますが、ここでも一門の結び付きが発揮されます。

建前上は「自由な選挙」のはずですが、実際は「理事=一門の代表者」となっており、選挙前には各一門内で調整を行い候補者を決定し、選挙前にはほぼ大勢が決まるようになっています。

相撲協会の理事は各部門での部長を務めることになるため、一門が結束して協会へと理事を送り込む必要があるのです。

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一門と所属部屋、そして理事

最後に一門に所属する部屋と、それぞれの一門の理事と副理事をご紹介しておきましょう。

出羽海一門

理事4名:境川、春日野、出羽海、山響親方
副理事:藤島親方

二所ノ関一門

理事3名:尾車、芝田山、阿武松親方
副理事:峰崎親方

時津風一門

理事1名:鏡山親方
副理事:井筒親方

高砂一門

理事1名:八角親方

伊勢ヶ濱一門

理事1名:高島親方(宮城野部屋)

無所属

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ここまでは一門についてご説明してきました。年寄について興味がわいた方はこちらの記事もどうぞ。

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