大相撲の世界では、「胸」という言葉を使った独特な専門用語が数多く存在します。
今回は、取組中の体勢を表す言葉から、過酷な稽古場で使われる言葉、さらには相撲界ならではの意外な隠語まで、「胸」に関連する相撲用語をまとめて解説します。
この記事の目次
取組における「胸」の用語
胸が合う(むねがあう)
対戦中に、四つに組んだ両力士が互いに廻し(まわし)を引き合い、お互いの胸をピタリと密着させた状態になることを指します。
「がっぷり四つ」に組んだ力相撲などでよく見られる体勢で、両者が十分な力を出し合える状態になります。実力や体格が拮抗している場合は名勝負になりやすいですが、体格差がある相手と「胸が合って」しまうと、力負けする危険が高まります。
稽古場における「胸」の用語
胸を貸す(むねをかす)
現在では一般社会でも「先輩に胸を貸してもらう」といったように広く使われていますが、本来は「上位の力士が、下位の力士のぶつかり稽古の相手(受け身)を務めること」や「稽古をつけてやること」を意味する相撲用語です。
胸を借りる(むねをかりる)
「胸を貸す」の反対で、自分より実力のある兄弟子や上位力士に対して、下位の力士が稽古をつけてもらう(ぶつかっていく)ことを指します。若手力士は、上位陣の重い胸を借りて何度も泥だらけになることで強くなっていきます。
いい胸(いいむね)
ぶつかり稽古において、上位力士がどっしりと構えて胸を出し、相手(下位力士)に存分の稽古をさせるよう上手く受け身をとることを指します。
相手の突進をしっかりと受け止め、力を引き出すようにコントロールする最高の練習台となることを「じょうずに『いい胸を貸している』」と表現します。また、上位力士が下位の者に稽古をつける行為そのものを「いい胸」と呼ぶこともあります。
相撲界の隠語としての「胸」
胸を出す(むねをだす)
稽古場においては「胸を貸す」と同じく、ぶつかり稽古で相手の突進を胸で受ける側を務めることを指します。
しかし、相撲界の日常会話における「胸を出す」には、全く別の隠語(裏の意味)が存在します。
それは、「自分が金を出して相手にごちそうする(飲食などの勘定を持つ)」という意味です。
食事の席などで、先輩力士が「ここは俺が胸を出すよ(=俺がおごるよ)」といったように、相撲部屋の日常的なコミュニケーションとして非常に粋な使われ方をしています。
これらの言葉が頻繁に飛び交う、相撲部屋の稽古の種類や流れについては、以下の総合解説記事もぜひご覧ください。
他にも気になる相撲言葉が調べたいときは、大相撲用語事典へぜひどうぞ。
また、当サイトでは出身地別、力士別、初土俵別など様々な方法で力士データをまとめています。
決まり手の解説記事へのリンクは、以下の一覧ページをご覧ください。
当サイトのいろんな記事へのリンクをまとめたナビゲーションページです。
