大相撲の「蛇の目」とは?土俵周りの砂の役割と判定、二重土俵の歴史

大相撲用語解説。今回は「蛇の目(じゃのめ)」について解説します。

際どい勝負の際、行司や審判が土俵の周りをじっと見つめている光景をよく見かけます。あそこには、勝負の行方を決める重要な仕掛けがあるのです。

スポンサーリンク

蛇の目(じゃのめ)とは

大相撲における「蛇の目(じゃのめ)」とは、土俵の境界線である「勝負俵」のすぐ外側に、ぐるりと円形に撒かれている細かな砂のことを指します。

この砂が撒かれている幅は、勝負俵の外側およそ25センチと決められています。取組の合間に、呼出(よびだし)がホウキで土俵の際(きわ)の砂を丁寧に掃き清めている姿を見たことがあるかもしれません。あの綺麗にならされた砂の帯が「蛇の目」です。

蛇の目の重要な役割と、呼出の「職人技」

なぜ勝負俵の外側にわざわざ砂を撒いて綺麗にならしておくのでしょうか。それは「力士の身体(主に足)が土俵の外に出たかどうかを判別するため」です。

大相撲では、足の裏以外の身体の部分が土俵につくか、身体の一部が少しでも勝負俵の外に出たら負けとなります。際どい勝負の場合、肉眼では外に出たかどうかわからないことがありますが、蛇の目の砂がきれいに掃きならされていれば、足が出た瞬間、砂に「足跡」がくっきりと残ります。

特に微妙な判定になりやすいのが「かかと」です。かかとが俵の外に出ているように見えても、宙に浮いていればセーフですが、蛇の目の砂に少しでも触れていれば足跡がつくため負けとなります。行司や勝負審判は、この蛇の目に残った足跡を確認することで力士の踏み越しや踏切りの有無を確認できるため、正確な判定を下すことができるのです。

そのため力士たち自身も、取組前や仕切りの最中に、うっかり蛇の目の砂を踏んで足跡をつけてしまわないよう気をつけて土俵に上がっています。

なお、勝負俵の「内側」にも若干の砂質の土が撒かれていますが、こちらは判定用ではなく、力士の足首への負担を減らすなどの安全対策としての意味合いがあります。

ホウキの使い分けと素早い対応

この蛇の目を常にまっさらに保つため、呼出たちは道具を使い分けて土俵を整備しています。

スポンサーリンク

一般的に、荒れた土俵の表面を整える際には「竹ぼうき」を使いますが、丸い勝負俵の外側である「蛇の目」をきれいに掃いたり、俵にかかっている砂を払い落とす際には、主に小ぶりな「手ぼうき」が使われます。取組と取組の間は時間が短いため、前相撲など進行が早い時間帯には、呼出が土俵の四隅にしゃがんで待機し、足跡がついたらすぐに飛び出してサッと掃けるよう常に目を光らせています。

かつては「蛇の目土俵(二重土俵)」だった

現代の大相撲の土俵は、勝負を分ける俵の円が1つだけの「一重土俵」ですが、歴史を遡ると、俵の円が二重に配置された「二重土俵(二重丸土俵)」や、三重に配置された「三重土俵(三重丸土俵)」が用いられていた時代がありました。

このうち二重土俵のことを、別名で「蛇の目土俵」と呼んでいました。当時の勝負俵は直径13尺(約3.94メートル)と今より一回り小さく、その外側にもう一周、大きな円形の俵が配置されており、その二つの円の間に入れられた砂の部分を「蛇の目」と呼んでいました。当時は内側の土俵を「勝負土俵」、外側を「砂除け土俵(または外俵)」と呼んでいました。

この「蛇の目(じゃのめ)」という言葉の由来ですが、土俵を上から見下ろしたとき、二重の円がまるで「蛇の目(へびのめ)」のように見えたことが、言葉の由来となっているのです。

しかし、昭和6年(1931年)4月の「天覧相撲(昭和天皇の観戦)」を機に、内側の13尺の俵を取り払い、段差のない現在のような15尺(4.55メートル)の「一重土俵」へと改められました。なぜ改められたかというと、この頃から体格の大きな力士が活躍するようになり、狭い土俵だとすぐに勝敗が決まってしまうため、少しでも長い時間相撲の取組を観覧してもらえるよう配慮したからだとされています。

つまり、土俵の形としては二重丸ではなくなり「へびの目」のようには見えなくなったものの、「勝負俵の外側の砂の部分」という名前と役割だけが現在にまで残ったというわけです。

スポンサーリンク

「蛇の目」のまとめ

大相撲の「蛇の目」は、勝負の境界線を見極めるための非常に重要な砂の帯です。

次に相撲中継を見る際は、取組と取組の間に呼出がササッと手際よく蛇の目を掃き清める姿や、物言い(審判の協議)がついた際に行司たちが蛇の目の足跡を真剣に覗き込む姿にぜひ注目してみてください。土俵の隅々にまで張り巡らされた、大相撲の厳格なルールの面白さを感じられるはずです。

スポンサーリンク

他にも気になる相撲言葉が調べたいときは、大相撲用語事典へぜひどうぞ。

また、当サイトでは出身地別、力士別、初土俵別など様々な方法で力士データをまとめています。

決まり手の解説記事へのリンクは、以下の一覧ページをご覧ください。

当サイトのいろんな記事へのリンクをまとめたナビゲーションページです。


コメントはお気軽にどうぞ

※当サイトは個人が運営するサイトであり、日本相撲協会及び、各相撲部屋とは関連がないことをご了承ください。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。※当サイトは個人が運営するサイトです。