数秒で勝敗が決まることの多い相撲ですが、その取組に対して立ち合うまでの時間が長いと感じていませんか?「相撲はどのタイミングで立ち合うの?」と思っている方もいるのではないでしょうか。
何度目かの仕切りの後、お客さんがわっと盛り上がっているから次だな!?なんて見当をつけている人もいると思います。それも間違いではないのですが、自分で分かるともっと楽しいと思いませんか?
そこで今回は立ち合いのタイミングを見極めるポイントをご紹介します。相撲玄人にとっては当たり前のことでも、当サイトでは詳しくおさえていきます。
この記事の目次
相撲は力士同士の呼吸で立つ
まず、そもそも相撲はどうやって開始されるのかを説明していきます。
例えばプロレスやボクシングなどではゴングを合図に試合が開始されまよね。柔道でも「始め!」の掛け声とともに試合が始まります。
ところが大相撲には、このような合図はありません。
「いや、行司がハッキョイと掛け声をかけているよ」と思った方、実はあれ、違うんです。
ではどう始まるかというと、大相撲は両力士の呼吸が合ったとき、お互いが動き出して始まるのです。
なにぶんコンマ何秒の世界ですから、掛け声のあとに動いているようにも見えますが、行司は両力士が立ち上がった後に掛け声を発しているんですね。
ちなみに、この「ハッキョイ」は「発気揚々」を意味しており、両力士が動かない場合に用いると『審判規則』で定められています。つまり、動くように促す意味があるので、立ち合い直前に「ハッキョイ」の言葉が掛かっていたら、それは立ち合いが成立していることになります。
「相撲の勝負は立ち合いで決まる」と言われるぐらい力士はこの一瞬にむけて集中力を高めていきます。気力を充実させ、お互いの呼吸を合わせていくために相撲では「仕切り」という一連の動作を繰り返しています。
そう思うと立ち合うまでの時間というのも、興味深く感じられませんか?
相撲の仕切りとは
「仕切り」とは、対戦する両力士が向かい合い、両手を土俵について腰を割り、立ち合いに備えてお互いの呼吸を合わせてゆく構えや姿勢のことを指します。
このとき行司には「見合って」や「構えて」など声をかけ、お互いの呼吸を合わせていく役目があります。
で、はじめの疑問に戻ると、この仕切りはいったい何度繰り返されて、いつ立つのか?ということですよね。
ここからが本題です。次はそこを解説していきましょう。
仕切り制限時間
まず、仕切りには制限時間が設けられています。これは両力士の呼吸が合って立ち合うまでに仕切り直しを許される時間のことを指します。
時間は各段によって違いがあり幕内は4分、十両で3分、幕下以下は2分以内と定められています。つまり原則としては幕内の場合、仕切りと塩まきは4分の間に繰り返されていることになります。
では「時間を計っていれば立ち合いが分かる!」が答え?
いえいえ、それは大変ですし実際は進行状況によって時間は変動しているので、これでは分かりません。そこでポイントをひとつずつ見ていきましょう。
相撲の立ち合いのタイミングを見極める3つのポイント
1・時計係審判をチェック
先ほどの時間は誰が計っていると思いますか?何となく土俵上で立ち合わせて取組を裁く行司のような気がしますが行司さんが時計を見ている様子はないですよね。これは実は、行司ではなく時計係の審判が計っています。
時計係審判は赤房下の審判(テレビ中継では左奥、行司の右後ろ)が担当しています。この審判は、呼出がふたりめの力士を呼び上げ終えたところから時間を計り始めます。
で、ここがポイントですが、時間いっぱいになった時にこの審判が行司と呼出に合図を送っているんです。具体的には、手をさりげなく差し出す動作なのであまり目立ちませんが、これに対して行司は頷き、呼出は立ち上がっています。
朝日山親方の話によると合図は2度送るそうです。1度目の合図は呼出に向けて、2度目は行司に向かって出しています。
この時計係審判の動きを見ていると立ち合うタイミングが分かるわけです。
ただし、この合図を送る動作はあまり目立たず、テレビ観戦では映らないことがほとんどだと思います。どちらかというと審判の合図よりも行司が頷く動作の方が分かりやすいかもしれません。
先ほどの取り決めでいくと幕内は4分が制限時間ですが、取組の進行状況によってはこの時計係の審判が仕切りの回数を増やしたり減らしたりして、制限時間をやりくりして調整します。
これは、NHKでの相撲中継の絡みもあって18時ちょっと前に「いい感じで」終わらなくてはならないからです。
また、幕下相撲の進行が早い場合にも、時間が決まっている十両・幕内の土俵入りのために時間調整をすることもあります。どうやって調整をするかというと、普段は幕下以下は塩をまかないのですが、呼出に塩を持ってきてもらい、幕下力士が塩をまくことで時間調整をします。
2・呼出がタオルを渡す
2つ目のポイントは呼出の動きです。
時計係の審判が時間がきたことを告げると呼出は立ち上がり、塩を取りに来た力士にタオルを渡します。これはテレビでも分かりやすく立ち合いを見極めるポイントになりますね。
力士がタオルを受け取って汗を拭い、様々なルーティンで集中力を高めていく様子も相撲観戦の楽しみのひとつですよね。
このルーティンを見逃さないためにも、制限時間いっぱいを見極めるポイントをおさえておきましょう!
ただし、タオルを使用出来るのは幕内と十両だけと決まっていますので幕下以下は時計係審判の合図、そして次にご紹介する行司の構えを参考にしてくださいね。
このタオルで汗を拭うというのは対戦相手に対しての礼儀にもあたります。身を清めるという意味でもありますが、汗で濡れた身体は滑りやすいため、お互いが十分な力を発揮できない可能性があります。しっかりと汗を拭うことは、勝ち負けだけにこだわったスポーツではない、儀式の側面も持った相撲独特の礼儀作法なのです。
3・行司の構えている向き
いよいよ最後となる3点目。いちばん分かりやすいのは行司が構えている向きです。
行司は両力士を立ち合わせる際に軍配を構えていますが、この構えには2種類あるのは御存知ですか?
「行司の構え」と言われてパッと思いつくのは正面を向いて腰を下ろしている姿ではないでしょうか。ところが制限時間前の仕切りの時は違うのです。制限時間前は東方(テレビ中継でいう左側)の方に身体を開いて構えているのです。
つまり、行司の身体が横を向いている時はまだ制限時間前の合図だということが分かるのです。行司も横を向いているからこそ後方に座る時計係審判の合図が見えるんですね。
さて、制限時間がいっぱいになり、いざ立ち合いという時には行司は正面を向き軍配を返します。そして「時間です」や「待ったありません(待ったなし)」などの掛け声で、両力士に仕切り制限時間がいっぱいになったことを告げます。集中力がぐっと高まる瞬間ですね!
どうです?3つ目のポイント「行司の身体の向き」は立ち合いを見極めるのにいちばん分かりやすいポイントですよね。
呼吸が合ったら立っても良い
ここまで制限時間の見極め方をみてきましたが、実は相撲は制限時間前に立ってもOKです。と言うのも「相撲はお互いの呼吸が合った時に立ち合うもの」つまり、制限時間前でもお互いの気が充実して呼吸が合ったとなれば、立ってもいいわけなのです。
いかにも日本的な「阿吽の呼吸」で成り立っている相撲の立ち合い。阿吽の「阿」は口を開き息を吐き出すこと、「吽」は息を吸い口を閉じること。この呼吸がぴたりと合った時、観るものを魅了する相撲の立ち合いが生まれるわけです。
実際のところ、最近では時間前の立ち合いはほとんどありませんが見てみたいですよね。
互いの呼吸を合わせる大切さ
時間ではなく両者の呼吸が合った時に立ち合うのが本来の大相撲の立ち合いです。ところが最近では仕切りでのお互いの動きもバラバラで、立ち合いも自分のタイミングで立とうとする力士が多く見られる気がしませんか。
大相撲が持つ、他の「スポーツ」や「試合」との違い。そしてアマチュアの相撲とも違う、ルール以前の「文化」とも呼べそうな、お互いの呼吸を合わせて始まる取組を大切にして頂けたらと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。ポイントをまとめましょう。
- 時計係審判の合図を見逃さない
- 呼出がタオルを渡したらいよいよ!
- 行司の身体の向きに注目
- お互いの呼吸が合えば時間前に立ってもよい
このポイントを押さえておけば、友達に「次、立ち合うよ」なんて教えてあげれそうですね。実際、私も教えたら喜ばれました(笑)
以上、相撲の立ち合いを見極める方法のご紹介でした。
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