大相撲の懸賞金は1本いくら入っている?懸賞金ランキング付で解説!

大相撲でわっと盛り上がる場面のひとつに、懸賞旗がたくさん出た時があるのではないでしょうか。

この懸賞旗の数はそのまま懸賞の本数を表していますから、観客が盛り上がるのも分かりますよね。

この懸賞金は1本いくらなのか?またどのような仕組みになっているのかご紹介していきましょう。

また、最後には懸賞金ランキングとして、2020年の力士別懸賞受取本数を表にしました。もちろん金額付きです!

懸賞金とは?

懸賞金とは、民間企業や後援団体などから提供されるもので、懸かった取組に勝った力士が受け取ることができるお金のことです。

懸賞の歴史は古く、なんと平安時代の相撲節(すまいのせち)という天皇が宮中で叡覧された儀式にまで遡ります。この相撲節の勝者には麻や絹などの織物や衣類、またはお米などが贈られました。

これが江戸時代になると贔屓の力士が勝った時に祝儀を渡すことが盛んに行われるようになります。この祝儀のことを纒頭(はな)と呼びました。

しかし明治末期の頃には渡し方が乱暴(?)になり、贔屓の力士に軍配があがると「投げ纒頭」といって土俵に向かって自分の帽子や羽織などを投げ込まれるようになりました。

力士はこれを拾い支度部屋に持ち帰ると、その投げ込んだ贔屓は支度部屋へひょっこりと現われ、自分が投げ込んだ物と交換にお金などを渡したそうです。

粋ともいえるこの投げ纒頭ですが、初代の国技館が開館された明治42年(1909)には正式に禁じられました。

現在のような賞金を渡す形になったのは昭和35年(1960)の9月場所からです。

懸賞金は1本いくら?

軽く歴史を振り返ってみましたが、気になるのは懸賞金の額ですよね。相撲協会では懸賞金1本の金額を7万円(税込)に設定しています。

以前は6万2千円でしたが、令和元年9月場所から8千円増額されて7万円になりました。

「土俵上で貰うあの袋の中は7万円!?」

いえいえ、この7万円という金額は提供者が相撲協会に支払う金額であり、ここから内訳として3つに分かれます。

まず、ひとつ目は取組表への掲載料と場内アナウンス料という名目で1万円は相撲協会が受け取ります。いわゆる手数料ですね。

ふたつ目はお待ちかね!土俵上で力士が受け取る金額です。この金額はズバリ…3万円です。土俵の上で勝った力士に手渡される、あの熨斗袋1袋につき3万円ずつが入っています。

7万円から手数料で1万円、力士に手渡されるのが3万円…さて、残りの3万円はどうなるのか?

実はこれも力士の分なんです。ただし相撲協会が預かり、力士本人名義の積み立て金として管理し、納税充当金として使用します。そして、余剰分については引退時に退職金と併せて支給されることになります。

懸賞金(総額)内訳金額
70000円
(改定前62000円)
取組表掲載料
場内放送料
10000円
(改定前5300円)
賞金
(土俵上で受け取り)
30000円
本人名義の積立金30000円
(改定前26700円)

懸賞金がかかるのは幕内の取組のみ

懸賞金がかかる取組は原則的に幕内の取組のみとなっています。関取という意味では幕内力士も十両力士も同じですが、ここで差があるんですね。

ただし十両力士にも懸賞金を受け取れるチャンスは残されています。

それは取組編成の都合で幕内の土俵に上がった時です。この取組に懸賞金がかかっており、更にその取組に勝てば十両力士も懸賞金を受け取ることが出来るんですね。

懸賞金は個人でも出せるの?

懸賞金の受付は企業や団体のみになっており、個人で懸賞を出すことは原則的に出来ません。

ただ、特例として平成25年(2013)九州場所でポール・マッカートニーが自身のアルバム「NEW!」の宣伝として懸賞を出したことはありました。

ポール・マッカートニーの相撲好きは有名ですが、ジャパンツアーの為に来日中で相撲観戦にも訪れていたポールは懸賞旗にも興味津々で、自分でも懸賞を出してみたくなったようです。

懸賞は1本でも出せるの?

では、この懸賞の申し込みは1本からでもOKなのでしょうか?

実は、これには本数の最低ラインが設けられており1日1本以上、1場所15本以上からの受付となっています。これをクリアすると追加は1本から可能です。

因みに平成12年(2000)頃からは「5本以上であれば1日だけ」や「1場所に5回以上かける」ことも出来るようになりました。ただ、相撲協会のホームページではあくまでも「1日1本以上、1場所15本以上」となっています。

かけ方としては贔屓の力士の取組だったり、結びの一番だったりと懸賞主の意向で好きなようにかけることができます。

さて、懸賞は1本は7万円ですから、15本ということは1場所につき最低でも105万円が必要ということになります。なかなかの金額になりますよね。

懸賞は力士を応援する意味がありますが、もちろんそれだけではありません。この金額に見合うだけのメリットもあるのです。

懸賞旗と取組表で宣伝が出来る

そのメリットとは「宣伝」です。テレビ中継でも分かるように、懸賞旗には様々な企業の社名や商品名、キャッチコピーが描かれています。

呼出しさんがこの旗を掲げて土俵を1周する姿は相撲観戦でも馴染みのある「風景」ではないでしょうか。

また会場内では名称やキャッチフレーズがアナウンスされます。残念ながら、公共放送であるNHKのテレビ中継やラジオ放送ではボリュームが絞られて別の音声が被さりよく聞こえません。

さらに入場者全員に配られるその日の取組表にもアナウンスされるキャッチフレーズが掲載されています。

このように、企業や団体にとって大きな宣伝効果があるんですね。

懸賞旗は自分で用意する

ではこの懸賞旗は、懸賞を出せば相撲協会が用意してくれるのか?というと…してくれません。

懸賞旗は懸賞を出す側が用意する必要があります。旗のサイズには規格があり幅70センチ、長さが120センチとなっています。デザインなどにも一定の制限があるようです。

懸賞主は懸賞旗の他に場内アナウンスと取組表掲載用のキャッチフレーズを用意します。これは15字以内と決められています。

特別枠の「森永賞」とは?

国技館のなかに森永の投票箱があるのはご存知でしょうか?

これは森永のミルクキャラメルやチョコレートなどの空き箱に、今日の注目の一番だと思う取組をひとつ選んで書き込み投票するものです。この投票は十両の取組が行われる15時半頃に締め切られます。

その後、中入りになると投票結果により本日の森永賞の対象取組が発表され、その一番には森永から懸賞が1本提供されるのです。

これには投票した人にも嬉しいオマケがあります。それは森永賞に選ばれた取組に投票した人の中から抽選で3名にも「森永賞」が当たるのです!

もしや3万?いや6万円!?

その正体は…森永ミルクキャラメル10箱など森永商品の詰め合わせらしいです。それも嬉しい相撲観戦記念ですね。

森永賞の歴史は古く昭和26年(1951)初場所からで、翌年からは現在のように観客による投票形式になったようです。この森永賞は東京場所である1、5、9月場所で実施されています。

ひとつの取組での懸賞上限60本

昨今の相撲人気で一場所あたりの懸賞の本数が増えています。力士を指定してかけるものでいうと、平成29年夏場所では稀勢の里指定の懸賞が史上最多となる608本になったそうです。もしも全勝ならば608本×3万円で1824万円!

平成18年(2006)1月場所から、ひとつの取組につき50本までとういう制限が設けられていましたが、稀勢の里が初優勝した平成29年初場所の千秋楽では懸賞依頼が殺到して緊急措置として60本(プラス森永賞で計61本)の懸賞が設けられました。

この人気をうけて相撲協会は平成29年3月場所より1つの取組につき最大で60本の懸賞と制限を改めました。

この60本という数ですが、仕切り制限時間の都合上、呼出が土俵上を懸賞旗を持って回るのに20本×3周の60本が限界のようで、それ以上の懸賞申し込みがあった場合には調整して減らすそうです。

懸賞金年間ランキング!2023年に懸賞金を多く受け取った力士は?

さてさて、お待たせいたしました。懸賞のことが分かったあとは、実際どの力士がどれだけ懸賞を受け取っているのかをご紹介しましょう。

対象は令和5年7月場所での幕内力士とし、令和5年5月場所までで受け取った懸賞をカウントしています。

どうぞ、ご覧ください。

大相撲懸賞本数ランキング2023

過去の懸賞金年間ランキング(2022年版)

次は2022年の間の懸賞金ランキングも載せておきましょう。対象は令和5年1月場所番付の幕内力士としています。懸賞金の期間としては令和5年1月場所から11月場所まで、つまり2022年中です。

大相撲懸賞本数ランキング2022

過去の懸賞金年間ランキング(2021年版)

もうひとつおまけに2021年の間の懸賞金ランキングも載せておきましょう。対象は令和4年1月場所番付の幕内力士としています。懸賞金の期間としては令和3年1月場所から11月場所まで、つまり2021年中です。

大相撲懸賞本数ランキング2021

懸賞金ランキングは強さだけではなく、人気と対戦運もあってはじめて上位にランクインする面白いバロメーターと言えるのではないでしょうか。

過去の懸賞金年間ランキング(2020年版)

さらに2020年の間の懸賞金ランキングも載せておきましょう。対象は令和3年1月場所番付の幕内力士としています。懸賞金の期間としては令和2年1月場所から令和2年11月場所までです。※令和2年5月場所は中止

大相撲懸賞本数ランキング2020

過去の懸賞金年間ランキング(2019年版)

さらに2019年の間の懸賞金ランキングも載せておきましょう。対象は令和2年1月場所番付の幕内力士としています。懸賞金の期間としては平成31年1月場所から令和元年11月場所までです。

大相撲懸賞本数ランキング2019

さて、懸賞金についてはこれでお分かり頂けたかと思います。それでは力士の給料はどうなっているのか?地位による月給や手当はどうなっているのか?これについては別の記事で詳細に解説しております。ぜひご覧ください。

 



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3 thoughts on “大相撲の懸賞金は1本いくら入っている?懸賞金ランキング付で解説!

  1. 坂太郎

    レイさんは、こちらに示されている懸賞の本数に関するデータをどこで入手されたのでしょうか。差し支えなければ教えて頂きたいです。

    返信
    1. レイ 投稿作成者

      坂太郎様、コメントをありがとうございます。

      こちらの本数データは、雑誌の月刊「相撲」を参考にしております。
      本場所がある月の雑誌には「幕内特製新番付」というページがあるのですが、そこに先場所までの年間獲得本数が掲載されています。
      ただし当月場所の幕内力士だけですので、十両と幕内を行き来している力士については、月を遡って確かめたりしています。

      お役に立てましたでしょうか?
      また今後ともよろしくお願いいたします。

      返信
  2. ホトトギス。

    大関さん頑張って!!9月場所楽しみにしています。

    返信

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