歴代横綱の休場回数一覧!休場率が高いのは?

横綱には降格がなく、自らが進退を決するまでその地位が保証される特権があります。

その代わりに出場すれば優勝か、それに匹敵する成績が常に求められる非常に大きな重責も背負っているのが横綱です。

大関以下であれば、怪我で休場するにしても降格を受け入れることで現役を続けることができますが、横綱には降格がない代わりに自身の現状と向かい合い、自らで進退を決する必要があるのですね。

今回はここ最近、話題になっている横綱の休場について調べてみました。

横綱の休場

1場所15日制が定着した昭和24年(1949)以降に昇進した横綱の休場をリストにしました。

休場については全休と途中休場で分け、その合計を出しています。さらにそれぞれの休場場所率も加えて、より休場率の高い順で横綱を並べています。

更に右側には実際の休場数と、本来であれば出場するはずであった「出場数」で算出した休場率も計算しました。

横綱の休場率ワースト順

横綱の休場数と休場率のリスト

こうしてみると稀勢の里の休場率75.0%が突出して目立ちます。横綱昇進まで一度も休むことがなかった稀勢の里ですが、昇進後の怪我による代償は余りにも大きかったことがよく分かりますね。

3位の3代目若乃花は、様々な怪我を抱えての昇進だったため、昇進以降は満足な成績を残すことができませんでした。

いま話題の鶴竜は通算19場所休場という歴代横綱ワーストとなってしまいました。

横綱の勝敗数と休場数推移

次に横綱の勝敗数と休場の推移をみていきましょう。時代を彩った横綱、そして近代横綱を中心にグラフを作成しました。

グラフの見方

始めにグラフの見方をご紹介しておきましょう。

青い棒は勝利数、灰色は負けを表しており、オレンジ色の棒が休場数となっています。

横軸が場所数、縦軸が勝敗と休場数となっており、例えば下から上までオレンジの場所は全休という見方になります。

さらに優勝した場所にはひし形のマークを付けております。

これを踏まえて栃錦の推移を見てみましょう。

なお、ここからは横綱の引退年月順にご紹介していきます。

栃錦の勝敗数と休場推移

栃錦の勝敗数と休場数(横綱在位時)

力士としては小さな体格ながら激しい闘志と多彩な技により横綱へと駆け上り、のちに正攻法の押し相撲をも磨き上げた「名人横綱」栃錦。

「衰えてから辞めるのは本意ではない」という春日野部屋の伝統を守るかのように、まだ十分な力を残したまま引退したことが、青の棒グラフによって見てとれますね。横綱の美学を感じる結果となりました。

栃錦の成績(横綱在位間)

勝敗
292勝84敗
優勝回数
6回
勝率
77.7%
横綱在位
28場所
全休
1場所
途中休場
3場所
休場数
32休
全休率
3.6%
途中休場率
10.7%
休場場所率
14.3%
休場率
7.9%

若乃花の勝敗数と休場推移

若乃花の勝敗数と休場数(横綱在位時)

強靭な足腰を武器にして真っ向勝負で土俵を沸かせた「土俵の鬼」。

横綱昇進後に8度賜杯を抱き、栃錦と「栃若時代」を築いた初代・若乃花のグラフです。栃錦との史上初、千秋楽結びの全勝対決を制したあと、栃錦が突然の引退。その後、連覇をみせた若乃花でしたが衰えが目立つようになり引退を決意します。それでも連続休場は無く、辞め時の潔さが見てとれるのではないでしょうか。

若乃花の成績(横綱在位間)

勝敗
254勝66敗
優勝回数
8回
勝率
79.4%
横綱在位
26場所
全休
1場所
途中休場
4場所
休場数
66休
全休率
3.8%
途中休場率
15.4%
休場場所率
19.2%
休場率
17.2%

佐田の山の勝敗数と休場推移

佐田の山の勝敗数と休場数(横綱在位時)

猛突っ張りによる真っ向勝負で横綱へと昇りつめた佐田の山。

病気などの影響もあり、昇進後は苦労した佐田の山ですが、念願の連覇を果たした翌場所に序盤3敗であっさりと引退を表明しました。現在であれば休場して翌場所からの再起となりそうですが、この佐田の山の辞め方が横綱の美学といえるのかもしれません。

佐田の山の成績(横綱在位間)

勝敗
188勝64敗
優勝回数
3回
勝率
74.6%
横綱在位
19場所
全休
1場所
途中休場
2場所
休場数
24休
全休率
5.3%
途中休場率
10.5%
休場場所率
15.8%
休場率
8.8%

柏戸の勝敗数と休場推移

柏戸の勝敗数と休場数(横綱在位時)

出足のよい速攻相撲で活躍した柏戸。

大鵬とともに「柏鵬時代」を築いた柏戸ですが、怪我や病気に苦しめられたことで昇進序盤から中盤にかけての休場が目立ちます。後半は休場こそ減りはしたもの勝星が伸びずに体力の限界を感じての引退となりました。

柏戸の成績(横綱在位間)

勝敗
407勝147敗
優勝回数
4回
勝率
73.5%
横綱在位
47場所
全休
6場所
途中休場
6場所
休場数
140休
全休率
12.8%
途中休場率
12.8%
休場場所率
25.5%
休場率
20.4%

大鵬の勝敗数と休場推移

大鵬の勝敗数と休場数(横綱在位時)

ここまで見てきた横綱と比べると「大横綱」大鵬の存在感が伝わってくるグラフとなっていますね。序盤での勝利数と優勝頻度はさすがです。

横綱中期では2度目の6連覇後に左膝靭帯断裂の大怪我があり3場所連続での全休がありますが、復帰後も全勝優勝2度を含む6回の優勝をあげています。

最後まで大きな壁で有り続けた様子が伺えるグラフとなりました。

大鵬の成績(横綱在位間)

勝敗
622勝103敗
優勝回数
29回
勝率
85.8%
横綱在位
58場所
全休
5場所
途中休場
7場所
休場数
136休
全休率
8.6%
途中休場率
12.1%
休場場所率
20.7%
休場率
16.0%

北の富士の勝敗数と休場推移

北の富士の勝敗数と休場数(横綱在位時)

NHK解説でお馴染みの北の富士さんですが、こうしてグラフで見ると成績にムラがあることが改めて分かりますね。これは「盟友」玉の海の突然の死、そして1人横綱としての重圧もあったようです。

輪島の台頭、北の湖の成長を見届けた北の富士は3場所連続休場後、初日2日目と連敗し引退を決意しました。

北の富士の成績(横綱在位間)

勝敗
247勝84敗
優勝回数
7回
勝率
74.6%
横綱在位
27場所
全休
3場所
途中休場
4場所
休場数
62休
全休率
11.1%
途中休場率
14.8%
休場場所率
25.9%
休場率
16.0%

輪島の勝敗数と休場推移

輪島の勝敗数と休場数(横綱在位時)

北の湖と「輪湖時代」を築いた輪島は幕下付出から一気に番付を駆け上がり、目覚ましい活躍をみせました。

ライバル北の湖の存在もありなかなか優勝に届かない時期もありましたが、それでも大きな休場もなくコンスタンスに成績をあげていることが分かります。

輪島の成績(横綱在位間)

勝敗
466勝142敗
優勝回数
12回
勝率
76.6%
横綱在位
47場所
全休
1場所
途中休場
7場所
休場数
85休
全休率
2.1%
途中休場率
14.9%
休場場所率
17.0%
休場率
12.4%

北の湖の勝敗数と休場推移

北の湖の勝敗数と休場数(横綱在位時)

昇進直後からの活躍は凄まじく、「憎らしいほどの強さ」と言われたのがよく分かるグラフです。

常に優勝を争い、そして勝ち取ってきた。そんな北の湖ですが後半には右膝の大きな怪我があり、3度の全休を含む6場所連続休場が目立ちます。それでも復活を大きく印象づけた全勝優勝が光っていますね。

最後は新国技館の落成式に横綱として臨み、初場所2日目に多賀竜に敗れたのを最後に引退を決意しました。

北の湖の成績(横綱在位間)

勝敗
670勝156敗
優勝回数
22回
勝率
81.1%
横綱在位
63場所
全休
4場所
途中休場
7場所
休場数
107休
全休率
6.3%
途中休場率
11.1%
休場場所率
17.5%
休場率
11.6%

千代の富士の勝敗数と休場推移

千代の富士の勝敗数と休場数(横綱在位時)

記憶にも記録にも残る大横綱・千代の富士は30歳を超えてからも凄まじい活躍を残しています。時折休場もありますが、そんなものは吹き飛ばすぐらいコンスタンスに成績を残していることが分かりますね。

平成3年5月場所初日、貴花田との歴史的な一戦に敗れ、3日目の貴闘力戦にも敗れた千代の富士は引退を決意、「体力の限界……気力もなくなり引退することになりました。」との言葉はあまりにも有名です。

千代の富士の成績(横綱在位間)

勝敗
625勝112敗
優勝回数
29回
勝率
84.8%
横綱在位
59場所
全休
6場所
途中休場
5場所
休場数
137休
全休率
10.2%
途中休場率
8.5%
休場場所率
18.6%
休場率
15.8%

大乃国の勝敗数と休場推移

大乃国の勝敗数と休場数(横綱在位時)

千代の富士や北勝海らと同時代に横綱であった大乃国ですが、こうしてグラフでみるとやはり物足りなさが際立ちます。

15日制では史上初となる横綱皆勤負け越しの屈辱も味わっている大乃国。左足首骨折や左膝の怪我、さらに睡眠時無呼吸症候群も抱えていたこともあり力を出し切れずに引退となりました。

大乃国の成績(横綱在位間)

勝敗
155勝79敗
優勝回数
1回
勝率
66.2%
横綱在位
23場所
全休
6場所
途中休場
2場所
休場数
105休
全休率
26.1%
途中休場率
8.7%
休場場所率
34.8%
休場率
31.3%

北勝海の勝敗数と休場推移

北勝海の勝敗数と休場数(横綱在位時)

素質よりもひたむきな稽古で押し相撲を磨きあげて横綱へと昇進、兄弟子・千代の富士と共に九重時代を築いた現八角理事長の北勝海。昇進から中盤までは一定の成績を残したと言えるでしょう。

北勝海の成績(横綱在位間)

勝敗
250勝76敗
優勝回数
6回
勝率
76.7%
横綱在位
30場所
全休
6場所
途中休場
2場所
休場数
109休
全休率
20.0%
途中休場率
6.7%
休場場所率
26.7%
休場率
25.2%

曙の勝敗数と休場推移

曙の勝敗数と休場数(横綱在位時)

外国人初の横綱となった曙。全勝はなく、勝ちを表す青グラフも決して高くはありませんが、これは強力なライバルたちと繰り広げた土俵上での戦いが如実に現れていると言えるでしょう。

曙の成績(横綱在位間)

勝敗
432勝122敗
優勝回数
8回
勝率
78.0%
横綱在位
48場所
全休
9場所
途中休場
4場所
休場数
166休
全休率
18.8%
途中休場率
8.3%
休場場所率
27.1%
休場率
23.2%

貴乃花の勝敗数と休場推移

貴乃花の勝敗数と休場数(横綱在位時)

平成の相撲ブームを牽引した貴乃花。その前半での大活躍が見て取れます。

しかし中盤からは休場が目立ち始め、後半に至っては7場所連続全休という不名誉な記録となりました。

貴乃花の成績(横綱在位間)

勝敗
429勝99敗
優勝回数
15回
勝率
81.3%
横綱在位
49場所
全休
11場所
途中休場
6場所
休場数
201休
全休率
22.4%
途中休場率
12.2%
休場場所率
34.7%
休場率
27.8%

武蔵丸の勝敗数と休場推移

武蔵丸の勝敗数と休場数(横綱在位時)

貴乃花とのライバル対決で大いに沸かせてくれて武蔵丸。貴乃花が長期休場をしていた時期も懸命に土俵を支えてくれました。

しかし左手首の大きな怪我により後半は6場所連続休場、そして横綱としての使命を全うできないと引退を決意しました。

武蔵丸の成績(横綱在位間)

勝敗
216勝67敗
優勝回数
7回
勝率
76.3%
横綱在位
27場所
全休
5場所
途中休場
4場所
休場数
115休
全休率
18.5%
途中休場率
14.8%
休場場所率
33.3%
休場率
29.3%

朝青龍の勝敗数と休場推移

朝青龍の勝敗数と休場数(横綱在位時)

昇進後からの凄まじい活躍が見て取れるグラフとなっています。全休についても2場所は出場停止処分であり、現役最後の場所も優勝と、「引退勧告」がなければどこまで記録を伸ばしていたのか?本当に強い横綱でした。

朝青龍の成績(横綱在位間)

勝敗
463勝91敗
優勝回数
23回
勝率
83.6%
横綱在位
42場所
全休
3場所
途中休場
4場所
休場数
76休
全休率
7.1%
途中休場率
9.5%
休場場所率
16.7%
休場率
12.1%

日馬富士の勝敗数と休場推移

日馬富士の勝敗数と休場数(横綱在位時)

白鵬、鶴竜、そして大関・稀勢の里や琴奨菊など強力なライバルがいたことで勝星は少々物足りなさを感じます。序盤で平幕に星を落とすこともありましたね。ただ、休場という視点でみると一定以上の責任は果たしたと言えるのではないでしょうか。

日馬富士の成績(横綱在位間)

勝敗
285勝107敗
優勝回数
5回
勝率
72.7%
横綱在位
31場所
全休
2場所
途中休場
4場所
休場数
73休
全休率
6.5%
途中休場率
12.9%
休場場所率
19.4%
休場率
15.8%

稀勢の里の勝敗数と休場推移

稀勢の里の勝敗数と休場数(横綱在位時)

分かってはいましたが、こうしてグラフにすると稀勢の里の悲運が際立ちます。横綱昇進初の場所での大怪我は、取り返しのつかない結果へと追い込まれてしまいました。

稀勢の里の成績(横綱在位間)

勝敗
36勝36敗
優勝回数
1回
勝率
50.0%
横綱在位
12場所
全休
4場所
途中休場
5場所
休場数
97休
全休率
33.3%
途中休場率
41.7%
休場場所率
75.0%
休場率
59.5%

鶴竜の勝敗数と休場推移

鶴竜の勝敗数と休場数(横綱在位時)

そして令和3年3月場所10日目に引退を表明した鶴竜。

ここまで見てきた横綱に比べて全休と途中休場、そしてその間の成績など物足りなさを感じます。

鶴竜の成績(横綱在位間)

勝敗
266勝117敗
優勝回数
5回
勝率
71.5%
横綱在位
41場所
全休
8場所
途中休場
11場所
休場数
227休
全休率
19.5%
途中休場率
26.8%
休場場所率
46.3%
休場率
36.8%

白鵬の勝敗数と休場推移

白鵬の勝敗数と休場数(横綱在位時)

次は「平成の大横綱」である白鵬です。

これまでに見てきた横綱とは別次元のグラフにみえますね。朝青龍の速すぎる引退によって一人横綱の時期が長かったとは言え、この前半から中盤の「青棒」は金字塔といえそうです。

その大活躍を知っているだけに、最後の4年ほどは休場が際立って「異常」に見えるのではないでしょうか。それでもこれまでの横綱との違いは休場明けでの成績です。

本場所に臨めば一定以上の成績を残しており、衰えたとはいえどもまだまだ第一人者であることを印象づけてくれていました。

白鵬の成績(横綱在位間)

勝敗
899勝129敗
優勝回数
42回
勝率
88.2%
横綱在位
84場所
全休
10場所
途中休場
9場所
休場数
232休
全休率
11.9%
途中休場率
10.7%
休場場所率
22.6%
休場率
22.8%

照ノ富士の勝敗数と休場推移

照ノ富士の勝敗数と休場数(横綱在位時)

最後は照ノ富士です。

一時は序二段にまで番付を落としましたが、そこからの「奇跡の昇進劇」は鮮烈でした。

照ノ富士の成績(横綱在位間)

勝敗
70勝21敗
優勝回数
3回
勝率
76.9%
横綱在位
9場所
全休
2場所
途中休場
2場所
休場数
44休
全休率
22.2%
途中休場率
22.2%
休場場所率
44.4%
休場率
32.6%


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出身地別、力士別、初土俵別など様々な方法で力士データをまとめています。

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カテゴリー : 相撲データ

公開日:2020-11-27
投稿者:レイ

3 thoughts on “歴代横綱の休場回数一覧!休場率が高いのは?

  1. t

    白鵬ファンが休場の数 なぜ貴乃花 稀勢の里がよくて白鵬には厳しく言われるかといってますが、このグラフとてもわかりやすかったです
    明らかに延命休場に見えてしまいます
    ありがとうございました

    返信
    1. レイ 投稿作成者

      コメントを頂きましてありがとうございます。
      グラフがお役に立てたようで良かったです。
      今後も分かりやすい記事を心がけて参ります。
      ありがとうございました。

      返信
  2. tenpoint

    多くの横綱が短命、このことは強いときに横綱に昇進しても、調子を崩すともういけない、実力は上位の力士それほど差が無いと言うことでしょうか。
    真の実力を持った横綱はそうはいないようですね。
    モンゴル出身力士がいなかったら、相当弱い日本人力士だけの相撲の歴史だったと言うことを再確認しました。

    返信

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