相撲部屋の数は実に多く、令和6年9月場所時点で44部屋もあります。
相撲は横綱から序ノ口まで10段階に分かれていますが、関取と言われる幕内と十両で70人、その下に約620人近くの力士がひしめき合う、裾野の広いピラミッド状になっています。
このピラミッドは実力社会なので、70人の枠の力士を何人も誕生させている部屋もあれば、最高位が三段目だけという部屋も出てくるのですね。
そこで今回は、各部屋にはどの地位にどれだけの力士がいるのか?そして部屋の中での力士の構成比はどうなっているのかを調べてみました。
この記事の目次
相撲の各段ごとの定数
はじめに大相撲の各段ごとの力士の定数を整理しておきましょう。- 幕内 :42名
- 十両 :28名(東西14枚)
- 幕下 :120名(東西60枚)
- 三段目:180名(東西90枚)
- 序二段:定員なし(最近は東西110枚前後でおよそ210名)
- 序ノ口:定員なし(最近は東西35枚前後でおよそ40名)
このように幕内から三段目までは定数が決まっており、十両から三段目までは枚数が毎回固定です。ただし、幕下や三段目で付出が発生した場合には定数プラス付出人数となります。
幕内は総数が42名と定まっていますが、横綱・大関そして三役力士の人数は場所によって変動があるため前頭の枚数は固定せずに前頭の人数で幕内定数「42」を調整しています。
例を上げると…平成31年初場所は3横綱・3大関・2関脇・2小結の10人が「役力士」でした。ということは残りは32名となり、東西16枚の前頭で幕内番付は構成されていました。
ところが平成31年7月場所の番付は2横綱・3大関・2関脇・2小結と、稀勢の里が引退したことにより役力士が9人に減ったので残りは33名となり、東西16枚+東の17枚が前頭となっています。幕内の東西が対にならない時があるのはこうした理由があるんですね。
番付の仕組みに関してはこちらのページにまとめていますので、興味のある方はぜひ御覧ください。
さて、お待たせしました。次からはいよいよ部屋ごとの力士数などを見ていきましょう
相撲部屋の力士数一覧
まずは相撲部屋ごとの力士数を一覧表でごらんください。部屋は五十音順になっております。
思った以上に部屋ごとの力士数にばらつきがあることが分かると思います。次からはいろんな項目に絞って並び替えたり色分けをしていきましょう。
所属力士が多い部屋は?
それではあらためて、まずは所属力士が多い部屋順で一覧表にしてみました。総力士に対する比率もあわせて載せています。
この表は上下左右スクロールします。
いちばん多いのは九重部屋、そして高砂、佐渡ヶ嶽、木瀬部屋と続きます。
関取が多い相撲部屋は?
次は幕内と十両を合わせた「関取」の人数を見てみましょう。関取総数70人に対する比率と幕内、十両それぞれの力士数も載せています。
こうして見ると先ほどの部屋の力士数の順位とはまた違った印象ですね。部屋の力士数が多ければそれだけ上位が多くなるかというと、どうも違うようです。
幕下以下が多い相撲部屋はどこ?
次は幕下以下を合わせた「取的」の人数を見てみましょう。幕下以下総数562人に対する比率と各段の人数も載せました。
基本的に幕下以下の力士が多い上位の部屋は、総力士数も同様に多いことが分かります。ただ、「幕下以下」と一括りにしても幕下と序ノ口ではレベルが大きく違いますよね。部屋ごとにどのような特徴があるのか?また後ほど見ていきましょう。
部屋の力士の構成比
次は、それぞれの部屋はどの段の力士が多いのか、その構成比を詳しくみていきましょう。
関取の比率が高い部屋
まずは関取の比率が高い部屋順をみてみましょう。一覧表を作成しました。3位の追手風部屋から見ていきます。追手風部屋は所属力士が20人で、力士数ランクでは6位と大規模部屋ですが、この規模で30.0%が関取というのは特筆に値するでしょう。何故これほど追手風部屋には関取が多いのか?実は追手風部屋の所属力士には大学相撲出身者が多く「入門時からある程度完成されていた力士」だということが理由のひとつにあります。追手風部屋は、師匠の元幕内・大翔山の出身校である日本大学出身者が多く在籍しているのです。
常盤山部屋と宮城野部屋は3人の関取がいますが、総所属力士が10人と20人という違いがあり、関取比率としては常盤山部屋が30.0%に対して宮城野部屋は15.0%となっています。
最後に1位の片男波部屋をみてみましょう。「所属力士が少ないから比率が高い」とも言えますが、このような小部屋から関取を出すことは、実は容易なことではありません。というのは力士にとって一番大切なことは日々の稽古だからです。四股やすり足などの基礎的なことは1人でも出来ますが、やはりぶつかり稽古や申し合い、三番稽古など、相手との実践を重ねることが大切です。
しかし所属力士が少ないと、部屋のなかだけでは十分な稽古が行えず、出稽古に頻繁に出かける必要があります。こうした環境の中から関取になるのは並大抵の努力ではないはずです。こう考えると片男波部屋の「2人」でこの比率の凄さが見えてきます。
幕下以下の比率が高い部屋
次は幕下以下の比率が高い部屋です。
このような結果になりました。「幕下以下しかいない部屋」つまり、比率100%の部屋が12部屋もあるので、さらに各段ごとの人数も考慮した順番になっています。
各段の人数構成をみると、例えば西岩部屋と浅香山部屋は所属力士数が同じですが、浅香山部屋の幕下力士が4人に対して、西岩部屋には幕下力士がいません。
また、佐渡ヶ嶽部屋や木瀬部屋、そして九重部屋は、力士人数に対して序ノ口力士の数が少ないことも分かります。幕下、三段目力士の比率が高い要因としては、稽古相手に恵まれていることがあるかもしれませんね。
もう一度「幕下以下しかいない12の部屋」を幕下比率に注目してみてみると、武蔵川部屋と山響、浅香山、押尾川部屋は幕下、三段目比率が高いことが分かります。今後注目の部屋かもしれません。
このように、部屋の力士数だけでみるとよく分からない特徴も、各段ごとに見ていくとどの部屋が勢いがあるのか?またはこれから伸びていきそうなのかが分かる気がしませんか?
上位力士がより多い部屋はどこか?
これまでみてきたことの集大成として、より上位力士が多い部屋順でリストを作りました。 幕内力士が多い部屋、十両が多い部屋、幕下力士……というように、上位力士が多い部屋順で並べ替えています。
相撲部屋ごとの力士構成グラフ
最後に各部屋の力士数をグラフでご用意いたしました。視覚的に捉えやすいのではないでしょうか。どうぞご覧ください。
所属力士数調べのまとめ
こうして部屋ごとの力士数や構成比を見てみると、たくさんの力士を抱えた部屋での豊富な稽古も大切ですが、少数精鋭ながらも頑張っている部屋が見えてきます。
そして、今は関取がいなくても未来の関取を誕生させるべく、親方をはじめ、所属力士たちが頑張っている部屋があることも分かりました。
今回、調べてみてとても面白かったので、また他のことも調べて記事にしてみますね。
ところで、それぞれの部屋にはどんな力士がいるのか興味を持たれた方はいませんか?そんな部屋ごとの力士の番付や成績をご覧になりたい方はこちら!目的の部屋を探してみてくださいね。また、最新の番付表もご用意しています。この番付表は今場所だけではなく先場所の成績とともに昇進の動きや枚数の増減も分かります。さらに過去6場所分の推移や初土俵はいつか?など様々な情報をすぐ確認できますので、どうぞ御覧ください。