相撲のことを全く知らない人でも知っている相撲用語として「横綱」はかなり上位にランクインするのではないでしょうか。
今回は、横綱とはどのような地位で、他の力士たちとはどう違うのか?横綱だけの特権とは何か?また、横綱昇進の基準などを解説していきます。
横綱は大相撲の最高位
大相撲力士の最高位となるのが横綱で、「力士のランキング」である番付の最上位に位置します。定員は定められておらず、また、番付には必ずしも横綱がいる必要はありません。
近年では平成4年7月場所から平成5年の1月場所の4場所は横綱不在の時期がありました。また、記憶に新しいところでは平成29年3月場所から11月場所までの5場所は白鵬、日馬富士、鶴竜、稀勢の里の4横綱でした。
横綱昇進の規定
横綱への昇進には大関で二場所連続優勝するか、これに準ずる好成績が必要であると言われています。
「準ずる好成績」の基準はその時々で変わりますが、ここでは直近に昇進した横綱、稀勢の里を例にして解説しましょう。
平成29年(2017)1月場所の優勝後に横綱昇進を果たした稀勢の里ですが、通算優勝回数は1回、つまり自身にとっての初優勝で昇進が決定したのでした。過去に一度も優勝したことがない稀勢の里がなぜ昇進できたのかというと、前年の年間最多勝が稀勢の里だったからです。これが「好成績」という評価にあたり、優勝1回でも昇進できたのでした。
このように優秀な成績がまず絶対条件ですが、それだけではなく「品格・力量が抜群」であると評価される必要もあります。
横綱には強さも必要ですが、それと共に品格が求められる辺りいかにも日本的な感じがしますね。
昇進への手順
ところで「成績と品格」というこの2点は、いったい誰が評価しているのでしょうか?
これには何段階かあるのですが、まず①・番付編成を担当する審判部から日本相撲協会理事長に要請がいきます。これを受けた②・理事長は横綱審議委員会に昇進についての諮問をします。この通称、横審は「横綱の推薦や色んな案件について日本相撲協会の諮問に答えたり進言する機関」と言われており、ここで③・三分の二以上の賛成を得ると、④・番付編成会議で推挙され、⑤・理事会で満場一致の賛成を得る必要があります。
このように5段階にもわたる評価を経て、めでたく昇進が決まるわけです。
横綱昇進伝達式
横綱昇進が決まると、相撲協会から理事と一門の審判委員の2名が使者として力士の所属部屋に派遣され、推挙されたことが伝えられます。力士と師匠は揃って使者の口上を受け、力士が感謝や今後の精進の決意を述べます。
昇進伝達式は番付編成日の当日、つまり本場所3日以内に行われるため、地方場所の場合は宿舎である旅館や寺社などで受けることになります。
横綱の特権とは?
横綱には他の地位の力士にはない特権がいくつかあります。ここからはその違いを紹介していきましょう。
横綱には降格がない
横綱になった力士は現役を退くまで、その地位が保たれます。他の地位の場合は、負け越しはもちろん怪我などで休場をすると番付が下がるわけですから、これは大きな特権となっています。
ただしこの特権は、裏を返せば横綱に対する高い要求への代償とも言えます。なぜなら、出場するからには優勝か、それに次ぐ成績を求められるのが横綱だからです。
横綱以外の地位は、力の衰えによって番付が下がったとしても、ある意味「その時の力量に見合った番付」と言えるので、現役を続ける気があれば土俵に上がり続けることが出来ます。
しかし、横綱には降格がないため、技量の衰えや怪我などで横綱の責任を果たせない場合は引退しか道がないわけです。大相撲の最高位とは、孤独な終着駅でもあるわけです。
横綱土俵入り
横綱といえば土俵入りですが、この土俵入りは現役横綱だけに許された特権です。この土俵入りは、故実にある平安と五穀豊穣を祈願する神事でもあるため、務めることが義務となっています。
土俵入りの際は露払い(つゆはらい)と太刀持ち(たちもち)という付き従う力士がおり、通常は関脇以下の幕内力士が務めます。この力士は同じ部屋か一門から選ばれて、15日間同じ者が従うのが基本です。ただし、一門力士の場合はその横綱と対戦することもありますから、その日は別の力士が務めることになります。
雲龍型と不知火型
横綱の土俵入りで見せる型には雲龍型と不知火型という2種類があります。これは10代横綱・雲龍久吉と11代横綱・不知火光右衛門の名に由来するものであり、それぞれが行っていた土俵入りの型が起源であるとされています。
ただしこれには諸説があり、それぞれが行っていた動作と型の呼称が、いつの間にか逆になって流布していると度々指摘されているのです。また、全体の動作の流れも現在のものとは違っていたようですので、あくまでも昔の横綱の四股名が由来であると覚えておくと良いかもしれません。
では、現在行われている動作の型は誰が確立させたかと言うと、雲竜型は第20代横綱の梅ヶ谷藤太郎(2代)が、不知火型は第22代横綱の太刀山峰右ヱ門の型が基になっているようです。ちなみに、どちらの横綱も富山県出身なんですよ。
攻守の雲龍型
雲龍型は、せり上がりの時に左手の先を脇腹に当て、右手をやや斜め前方に差し伸べます。右手が攻め、左手が守りと「攻めと守りの両方」を示していると言われています。綱の結び目は一つです。
攻めの不知火型
不知火型は、せり上がりの時に両手を左右に開きます。これが「積極的な攻め」を示していると言われています。不知火型は綱の結び目が二つになっています。
土俵入りの型は昇進時に決める
どちらの土俵入りの型を選択するかは横綱に昇進した際に決めることになっていますが、選択基準のひとつとして所属する一門があります。
雲龍型は出羽海一門、高砂一門、時津風一門が、不知火型は伊勢ヶ濱一門と二所ノ関一門というように、横綱がどの一門に属するかで伝統的に踏襲する型が決まっているようです。ただし、選択の自由はあるようで、現に二所ノ関一門である田子ノ浦部屋の稀勢の里は雲龍型を選択しています。
雲龍型の主な横綱
- 双葉山(立浪部屋)
- 千代の山(出羽海部屋)
- 初代・若乃花(花籠部屋)
- 柏戸(伊勢ノ海部屋)
- 大鵬(二所ノ関部屋)
- 北の富士(九重部屋)
- 輪島(花籠部屋)
- 北の湖(三保ヶ関部屋)
- 千代の富士(九重部屋)
- 北勝海(九重部屋)
- 大乃国(放駒部屋)
- 曙(東関部屋)
- 貴乃花(二子山部屋)
- 武蔵丸(武蔵川部屋)
- 朝青龍(高砂部屋)
- 鶴竜(井筒~陸奥部屋)
- 稀勢の里(田子ノ浦部屋)
不知火型の主な横綱
- 太刀山(友綱部屋)
- 羽黒山(立浪部屋)
- 吉葉山(高島部屋)
- 玉の海(片男波部屋)
- 琴櫻(佐渡ヶ嶽部屋)
- 隆の里(二子山部屋)
- 旭富士(大島部屋)
- 若乃花(二子山部屋)
- 白鵬(宮城野部屋)
- 日馬富士(伊勢ヶ濱部屋)
- 照ノ富士(伊勢ヶ濱部屋)
引退後5年間は年寄待遇
横綱は現役を引退した後も5年間は現役時の四股名のままで年寄(委員待遇)の資格が与えられます。万が一、年寄名跡を取得していなくても、この5年間の間に名跡を取得する猶予が与えられているわけです。
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