長年応援してきた力士もやがては引退する日がやってきます。
いままで応援してきた力士の晴れの舞台である「引退相撲」に注目している方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では大相撲の引退相撲について解説していきます。
この記事の目次
引退相撲とは
引退相撲(いんたいずもう)とは、現役を引退した力士が、その引退を関係者に披露するために行う花相撲のことであり、引退力士と部屋の後援会が主催して行われます。
この引退相撲による収益は選別の意味合いがあり、基本的には引退力士の総取りとなるようです。
国技館初の引退相撲は?
国技館で初めて引退相撲が行われたのは大正3年(1914)6月で、第19代横綱・常陸山のときでした。
このときは4日間の披露興行を開催して最終日に横綱土俵入り、そして断髪式は出羽海部屋で行ったそうです。
引退相撲で行われること
引退相撲ではどのような催しがあるのか、ここでは令和元年(2019)9月に引退相撲を行った里山関の開催概要を例にしてご紹介しましょう。- ふれ太鼓
- 相撲甚句
- 初っ切り
- 髷結い実演
- 十両土俵入り
- 十両取組
- 断髪式
- 幕内土俵入り
- 横綱土俵入り
- 幕内取組
各引退力士により多少の違いはあると思いますが、概ねこのような内容になっております。
通常であれば引退力士本人の取組も行われます。息子さんがいる場合には、その息子さんに現役最後の胸を出すこともあるようです。
断髪式
このように様々な催しがありますが、やはりいちばんは断髪式でしょう。
通常であれば数百人の関係者が少しずつ髷にハサミを入れていき、師匠の止め鋏(とめばさみ)により、髷が切り落とされます。
里山関の開催概要をみると断髪式のあとに幕内土俵入りや取組がありますが、この間に整髪を行い最後に新しい髪型を披露されることが多いです。
引退相撲が開催できる力士の基準は?
引退相撲は誰でも開催できるわけではありません。
原則的に、引退相撲を開催できるのは「関取で30場所以上をつとめた力士」とされています。
この基準を満たしている力士は断髪式および引退相撲を、力士会の協力を得て両国国技館で行うことができます。
開催時期は?
通例としては1月、5月、9月の場所後。つまり東京での本場所後に引退相撲が開催されることが多いです。
引退相撲の興業は準備がたいへんなこともあり、通常は現役を退いてから数ヶ月後に行われます。
十両以上の力士(関取)で構成される「力士会」は引退相撲に関しては無料で協力することが通例です。
力士会の定例会は番付発表の翌日に開催されることになっていますが、引退相撲の開催を直前に控えている主催力士(引退力士)はその定例会に挨拶に出向き、協力を要請することになっています。
引退相撲は貴重な収入源
冒頭でもお伝えしましたが引退相撲の収益(チケット代や断髪のはさみを入れる際のご祝儀など)は引退力士への「選別」の意味合いがあり、今後の貴重な活動資金となります。
このため是が非でも開きたい「引退相撲」ですから、その開催までは断髪せずに髷を残しながら生活することになります。
引退相撲を行わない力士は髷をどうする?
引退相撲開催の条件を満たしていない力士は断髪式をどうするの?と思われる方がいるかもしれません。
まず、引退相撲の条件には届かなかった力士でも十両を1場所以上つとめた力士は両国国技館の土俵上で断髪式を行えることになっています。
またごくまれにですが、引退相撲の条件を満たしている力士でも経費の問題などから断髪式だけ行うこともあるようです。
つまり「引退相撲=断髪式」ではなく、引退相撲のなかで断髪式を行っていると考えると分かりやすいですね。
十両を1場所以上つとめた力士は両国国技館の土俵上で断髪式を行えますが、この条件を満たさずに引退した力士は国技館の大広間を借りたり、所属部屋の千秋楽後の打ち上げパーティーなどで断髪式を行うことが多いようです。
このように、残念ながら関取にはなれなかった力士であっても、その力士人生を共に歩んできた髷との別れに際してしっかりと断髪式を行い、新たな門出とするのですね。
戦前は引退相撲と断髪式は別に行われていた
ちなみに現在は引退相撲を行う場合には断髪式も同時に行っていますが、戦前は引退相撲を靖国神社や巡業先などで興業し、断髪式は部屋でする場合が多かったようです。
引退相撲開催予定の元力士
今後、引退相撲の開催を予定している元力士と、その開催スケジュールを紹介しておきましょう。
安美錦(安治川親方)
- 最終場所:令和元年(2019)7月場所
- 開催予定日:令和4年(2022)5月29日(日)
- 詳細は安美錦OFFICIAL WEBSITEでご確認ください
誉富士(楯山親方)
- 最終場所:令和2年(2019)9月場所
- 開催予定日:未定
嘉風(中村親方)
- 最終場所:令和元年(2019)9月場所
- 開催予定日:令和4年(2022)2月5日(土)
- 詳細は嘉風関のホームページでご確認ください
豪栄道(武隈親方)
- 最終場所:令和2年(2020)1月場所
- 開催予定日:未定
蒼国来(荒汐親方)
- 最終場所:令和2年(2020)7月場所
- 開催予定日:未定
豊ノ島(井筒親方)
- 最終場所:令和2年(2020)7月場所
- 開催予定日:未定
栃煌山(清見潟親方)
- 最終場所:令和2年(2020)7月場所
- 開催予定日:令和4年(2022)1月30日(日)
- 詳細は相撲協会のホームページでご確認ください
琴奨菊(秀ノ山親方)
- 最終場所:令和2年(2020)11月場所
- 開催予定日:未定
鶴竜(鶴竜親方)
- 最終場所:令和3年(2021)3月場所
- 開催予定日:未定
旭日松(桐山親方)
- 最終場所:令和3年(2021)7月場所
- 開催予定日:未定
勢(春日山親方)
- 最終場所:令和3年(2021)7月場所
- 開催予定日:未定
豊響(山科親方)
- 最終場所:令和3年(2021)7月場所
- 開催予定日:未定
白鵬(間垣親方)
- 最終場所:令和3年(2021)9月場所
- 開催予定日:未定
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