相撲中継やニュースなどで出てくる言葉や、歴史のある大相撲の世界で使われている独特の用語などを知ると、もっと大相撲が面白くなる!
大相撲にまつわる用語、ここでは「あ」から始まる言葉をご紹介していきます。
この記事の目次
上がり段(あがりだん)
土俵の傾斜面のことを「土端(どば)」というが、その傾斜面に作られた踏み段のことを上がり段という。踏み段は俵が埋められて作られていることから「踏み俵(ふみだわら)」と呼ぶこともある。
設置個所は土俵の正面に1か所、向正面と東西の3面にはそれぞれ3か所ずつ作られており、力士や行司、呼出、審判が土俵の上がり下がりに使用する。
あげ俵(あげだわら)
勝敗を決する勝負俵(しょうぶだわら)の外側には、角俵(かくだわら)と呼ばれる俵が正方形に埋められているが、その四隅に各1俵ずつ斜めに配置された俵のことをあげ俵という。ちなみに、あげ俵の長さは61.5㎝、直径は約15㎝となっている。
朝稽古(あさげいこ)
普段の部屋での稽古は早朝から行われるが、特に朝稽古という言い方はしない。これは稽古は朝行うことが普通だからである。
では「朝稽古」と敢えて言うのはいつか?これは巡業のときであり、取組表に「〇〇時より朝稽古」と記載されることがある。稽古の様子を見れるのも巡業の醍醐味だが、観客のために取組表に朝稽古と記載して時間を設けている。
朝太鼓(あさだいこ)
呼出が櫓の上で打つ太鼓の打ち方のひとつであり、「寄せ太鼓(よせだいこ)」の別称。本場所中の午前8時から30分ほど打たれている(地方場所は8時半頃から)。相撲を開催中であることを知らせるものであり、来場を勧める意味が込められている。
汗かき(あせかき)
力士の汗や身体についた砂をかき落とすのに用いられる道具。材料は真竹で、幅1.5㎝ほどで縦に割りU字形に曲げて使う。ぐいぐいと皮膚の中の汗までかき出されるようで爽快な気分になるらしい。現在はタオルでぬぐうことがほとんどで、汗かきを使うことは少ない。
兄弟子(あにでし)
最終的には番付がモノを言う相撲の世界ではあるが、自分より先に入門した力士のことはすべて兄弟子と呼び敬う。力士同士だけでなく、行司や呼出、床山など職域を超えて先に相撲協会員となった者は兄弟子となる。
兄弟子負け(あにでしまけ)
先輩力士との対戦で、相手の貫禄や経験などによって気おくれしたように負けたときに使われる言葉。
油銭(あぶらせん)
力士が髷を結ってもらったときに心付けとして床山に渡す油代のこと。床山は相撲協会から櫛と元結が支給されているが、すき油(びんつけ油)については各力士が油銭として負担している。
荒木田(あらきだ)
土俵を造る粘土質の土の名称。旧荒川(現在の隅田川)流域の荒木田の原で採れた土は粘りがありながら乾燥が速く、土俵造りに最適だったことから「荒木田」と呼ばれて重宝された。現在は千葉県我孫子市や茨城県筑波周辺の土を使用しているが、依然として「荒木田」の名称が使われている。
以前は東京場所のみ荒木田で、地方場所はその土地の土が使われていたが平成29年(2017)11月場所(九州場所)からは荒木田を運び、年6場所すべて荒木田による土俵となった。
なお、相撲協会の「相撲規則 土俵規定 第2条」にも「土俵は荒木田(あらきだ)をもってつきかため、四股を踏んでも足跡がつかない堅さにして、砂を入れる」と定められている。
あんこ/あんこ型(あんこがた)
肉付きがよく丸々と太って腹が突き出た力士の体型や、そのような体型の力士のことを指す。魚のアンコウから連想された言葉で、アンコウの丸々とした体型に喩えられた言葉。
また、新弟子のことを「あんこ」と呼ぶこともある。
あんま
下位力士が上位力士の稽古相手をすること。実力の差があり、上位の力士にとっては軽く身体をほぐす「マッサージ(按摩)」のような稽古だという意味で使われる相撲界独特の表現。