相撲部屋は親方によって運営されていますが、その親方というのは敬称で「年寄(としより)」という呼び方が正式です。年寄には、師匠として部屋を率いる「部屋持ち親方」と、その部屋に所属している「部屋付親方」がおり、ずっと部屋付親方でいる人もいれば、独立の時期をみて新しく部屋を興す親方もいます。
相撲協会は、この年寄たちが主体となって運営されています。つまり、年寄たちは各部屋での指導とは別に、審判や場内での警備、各地の巡業の準備や解説者としてのテレビ出演・広報活動、力士たちの生活指導から果ては木戸でのもぎりまで、様々な仕事をそれぞれが担当しています。
ひとくちに「親方」と言っても様々な経歴と仕事を担っている年寄たちについて詳しく知りたいと思いませんか?そこで今回は、現役年寄として在籍している101名の一覧をご用意しました。
協会内での役職や責務、停年まであと何年なのか、現役時代の成績なども交えながら、いろいろなデータを載せています。また並び替えも出来ますので、知りたい情報を効率的に見ることが出来ますよ。どうぞご覧ください。
この記事の目次
現役年寄一覧
所属 部屋 | 名跡・名前 | 役職 | 身分 | 一門 | 最高位 | 現役時 四股名 | 出身地 | 本名 | 年齢 | 生年 月日 | 現役 年月数 | 大相撲歴 | 停年日 | 停年まで の年月 | 所属変遷1 | 所属変遷2 | 名跡変遷1 | 名跡変遷2 | 名跡変遷3 | 一門変遷1 | 一門変遷2 | 出身高校 | 出身大学 | 初土俵 | 初土俵 年齢 | 新十両 | 新十両 年齢 | 新入幕 | 新入幕 年齢 | 新三役 | 新三役 年齢 | 大関昇進 | 大関昇進 年齢 | 横綱昇進 | 横綱昇進 年齢 | 最終場所 | 最終場所 年齢 | 優勝 | 三賞・金星 | 生涯 勝数 | 生涯 敗数 | 生涯 休数 | 出場 回数 | 生涯 勝率 | 関取在位 | 幕内在位 | 三役在位 | 大関在位 | 横綱在位 | 職務 |
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元横綱・稀勢の里が襲名した荒磯の歴史を知りたくありませんか?こちらの記事では詳細プロフィール付きで荒磯代々についてご紹介しています。
年寄の概要
表を見るにあたって「年寄」と「理事」について簡単にまとめてみました。ご参考にどうぞ。
年寄の襲名条件
年寄名跡の取得条件は時代によって変遷がありますが、不変の大前提がひとつあって、それは「日本国籍を有する者」という項目です。
さて、平成10年(1998)5月1日より適用されている現在の規定は次の通りです。
- 横綱・大関を務めた力士
- 三役(関脇・小結)を1場所以上
- 幕内を通算20場所以上
- 幕内・十枚目以上(関取)を通算30場所以上
このいずれかを満たしていれば年寄名跡の襲名継承資格を得ることができます。ただし、いくら資格があっても年寄名跡に空きが無ければなれません。
そこで、横綱・大関には引退に際して特例措置があり、力士名のままで横綱は5年間、大関は3年間の年寄(委員待遇)としての資格が与えられます。これによって猶予が出来るので、この間に実際の名跡取得を目指すわけですね。
上記のように条件が決められているのですが、場合によっては満たしていなくても取得可能なケースがあります。
それは、平成25年(2013)11月17日の理事会で追加された規定で「関取在位通算28場所以上であれば、名跡の前保有者と師匠、保証人の親方の願書があれば、理事会でその是非を決定する」というものです。手続きは余計に必要になりますが事実上、従来より関取在位が2場所足りなくても取得が可能になっています。
また、「相撲部屋継承者」として承認された場合にはさらに条件が緩和されます。
- 幕内在位通算12場所以上
- 幕内・十枚目以上を通算20場所以上
ただし、師匠の停年や逝去に伴った部屋の継承の場合には、条件等の制限はありません。
部屋の新設条件
冒頭では、年寄には師匠として部屋を率いる「部屋持ち親方」と、その部屋に所属している「部屋付親方」がいるとご紹介しました。
従来は部屋を新設するにあたっての明確な基準は無かったのですが、平成18年(2006)9月28日より、年寄が部屋を新設できる条件が設けられました。それは以下のような条件です。
- 横綱、もしくは大関(陥落大関も含む)
- 三役(関脇・小結)通算25場所以上
- 幕内通算60場所以上(番付制限なし)
これらのいずれかの条件を満たした引退後1年以上経過した年寄は、理事会の承認を経て相撲部屋を新設することが出来るのです。
この条件はなかなか厳しいもので、現在部屋を持っている親方の中には、この条件が適用されていたら師匠にはなれなかった方もいるようです。
一代年寄
一代年寄(いちだいとしより)とは、現役時代の功績が顕著だった横綱に、その横綱一代に限って相撲協会から贈られる特別な年寄名跡で、名称は現役時の四股名のままとなります。これまでには3人しかおらず、現在では貴乃花親方がそれにあたります。他の2人は大鵬と北の湖で、千代の富士にも一代年寄の打診がありましたが、持続的な部屋の運営を行いたかった千代の富士はこれを辞退し、年寄・九重を襲名しました。
年寄の停年
年寄の停年は満65歳と定められていますが、平成26年11月16日より、停年を迎えて退職した年寄の再雇用制度が導入されました。希望者で再雇用が認められると最長で5年間は年寄名跡を保有したまま相撲協会に「参与」として残ることができます。ただし、部屋持ち親方や協会の理事・副理事になることはできません。
最近では、10代友綱(元関脇・魁輝)が停年にあたって、4代大島(元関脇・旭天鵬)と名跡交換をして部屋を譲り、参与として残ったことが話題になりました。
評議員
公益財団法人となった日本相撲協会は、定数5名以上7名以内の評議員を設けています(総数の過半数は外部有識者で構成)。
このうち、3名以内は力士経験者から選出されることになっていますが、この評議員は理事の選任や解任などの強い権限を与えられるため、年寄との兼務は認められておらず、年寄が評議員に就任した場合は、年寄をいったん退任することになっています(年寄株は保有したまま)。そのため、番付表などにもその親方の年寄名は載っておらず、評議員の枠に本名で記載されることになります。
平成25年(2013)から平成30年(2018)3月までは湊川(元小結・大徹)、二子山(元大関・雅山)、大嶽(元十両・大竜)の現職年寄が選出されていましたが、親方衆の中からは角界OBからの人選を求める声があったようで、新たな評議員は協会を離れていた角界OBから選出されました。- 森田 武雄(元関脇・藤ノ川 11代伊勢ノ海)
- 石田 佳員(元関脇・鷲羽山 10代出羽海)
- 小塚 一 (元前2・朝乃翔 14代若松、13代若藤など)
理事
相撲協会の理事は定員が10~15名の間(外部有識者2名以上3名以内)となっており任期は2年で再任可能です。この理事は評議員会によって任命されるのですが、年寄から選出される理事候補と、外部から選ばれる理事候補の中から選ぶことになっています。
このうち、年寄からの理事候補は全年寄による投票によって選ばれることになっています。
理事長
理事長は、理事会での互選によって選ばれます。前理事長(北の湖)の死去によって理事長代理に就任していた八角親方は、平成27年(2015年)12月18日に開かれた理事会で理事長に選出されました。
その後、平成28年(2016年)3月28日に行われた理事長改選では八角親方と貴乃花親方とで争われましたが、結果は6対2で八角が再度選ばれることになり、現在に至っています。
次回の理事長選は2018年の3月となります。次はどうなるのでしょうか?
年寄トピックス
直近での年寄関連での話題や異動などを簡単にまとまておきます。
錣山・立田川・湊親方が時津風一門から離脱
平成29年12月18日に開かれた時津風一門の一門会の席上で錣山親方と立田川親方、そして湊親方の3親方が時津風一門からの離脱を表明しました。
離脱理由について錣山親方は「協会に対して自由に意見を言える立場にいたいと思っていた。協会のルールの中で協会が良くなるような意見を言っていきたい」と話しており、一門の枠にとらわれない形で角界発展のために貢献したいとのこと。
今後3親方は、どの一門にも属さずに「無所属」という立場で行動していくようですが、一門からの離脱に際して大きな反発はなかったようで、相互での出稽古も旧来通りに行っています。
伊勢ヶ濱親方の理事辞任
平成29年12月20日の理事会理事会にて伊勢ヶ濱親方は日馬富士の暴行事件の責任を取って理事を辞任した。
理事 ⇒ 役員待遇
地方場所部長(大阪)⇒ 監察副委員長
これに伴い鏡山親方が地方場所部長(大阪)を兼務
貴乃花親方への理事解任
平成29年12月28日の臨時理事会にて貴乃花親方への理事解任と2階級降格が決議されました。これは、日馬富士による貴ノ岩への暴行事件において、危機管理委員会の調査に非協力的だったことが主な理由であり、年明けの4日の臨時評議会で理事解任決議が承認されて降格処分が決定しました。
理事 ⇒ 役員待遇
巡業部長 ⇒ 指導普及部副部長
これに伴い春日野親方が巡業部長を兼務
北太樹の小野川襲名による名跡ドミノ
1月13日に東幕下3枚目の北太樹(最高位幕内2枚目)の現役引退と年寄・29代小野川の襲名が理事会で承認されたと発表されました。
これに伴い、阿武松部屋の部屋付親方だった28代小野川(元幕内・大道)が名跡変更によって21代音羽山を襲名、さらに貴乃花部屋の部屋付親方だった20代音羽山(元幕内・光法)は相撲協会を同日付で退職したことも発表されました。
実は退職した光法は、宮城野部屋の部屋付親方(5代安治川)だった平成10年の理事選挙のとき、部屋の一門である立浪一門の候補者ではなく貴乃花に投票した「造反」が問題になり、一時は退職の意向を示したが後に撤回。その後、貴乃花部屋へと移籍した過去がありました。
貴乃花親方が2階級降格で平年寄に
平成30年3月29日の理事会によって貴乃花親方の処分が決定、2階級降格で平年寄になりました。去年の12月まで理事だった貴乃花ですが2度の降格処分を合わせると5階級の降格となり、理事という要職にあった名誉ある一代年寄も、ついには平年寄にまで落ちることになりました。
また、前日の理事会では親方たちの新たな職務が決められましたが、貴乃花は審判部・指導普及部へと配属されることになりました。
審判部ということは、本場所の土俵下で審判を務めることになりますので、3月場所での「職場放棄」のような勤務は不可能になりそうです。そして、5月場所からは今まで以上に貴乃花の姿を目にする機会が増えるでしょう。また、番付編成会議にも加わることになります。
名跡変更・襲名・移籍・部屋継承・訃報
平成30年1月13日発表
- 28代小野川⇒21代音羽山(元前頭8・大道)
- 29代小野川襲名(元前頭2・北太樹)
平成30年4月20日発表
- 21代佐ノ山⇒20代間垣(元前頭筆頭・土佐豊)
- 15代荒磯⇒17代熊ヶ谷(元前頭9・玉飛鳥)
平成30年6月28日発表
- 13代谷川(元関脇・北勝力)八角部屋⇒九重部屋へと転籍
平成31年11月23日発表
- 22代佐ノ山襲名(元前頭12・里山)
平成31年1月16日発表
- 16代荒磯襲名(72代横綱・稀勢の里)
平成31年1月22日発表
- 22代押尾川襲名(元関脇・豪風)
平成31年3月22日発表
- 13代秀ノ山襲名(元前頭8・天鎧鵬)
令和元年7月17日発表
- 8代安治川襲名(元関脇・安美錦)
令和元年7月25日発表
- 22代春日山⇒20代北陣(元前頭2・翔天狼)
令和元年8月27日発表
- 12代中村⇒14代山科(元前頭2・佐田の富士)
令和元年9月12日発表
- 13代中村襲名(元関脇・嘉風)
令和元年9月20日発表
- 17代楯山襲名(元前頭6・誉富士)
令和元年9月26日発表
- 12代阿武松⇒22代音羽山(元関脇・益荒雄)
- 21代音羽山⇒13代阿武松(元前頭8・大道)
- 阿武松部屋継承・13代阿武松(元前頭8・大道)
年寄の引退・退職者
貴乃花部屋 :20代・音羽山 貞賢(元前頭9・光法)
年寄名跡を失い平成30年(2018)1月13日にて退職
二所ノ関部屋:19代・北陣 和春(元関脇・麒麟児)
停年により平成30年(2018)3月8日にて退職
出羽海部屋:13代・山科 盛夫(元小結・大錦)
停年により平成30年(2018)9月23日にて退職(9月場所限り)
貴乃花部屋 :一代年寄・貴乃花 光司(第65代横綱・貴乃花)
平成30年(2018)10月1日付にて退職
片男波部屋 :16代・楯山 大造(元関脇・玉ノ富士)
平成31年(2019)4月25日付にて退職
時津風部屋 :13代・武隈 敏正(元前頭筆頭・蔵玉錦)
令和元年(2019)9月2日付にて退職
阿武松部屋 :22代・音羽山 広生(元関脇・益荒雄)
令和元年(2019)9月26日付にて退職
年寄の訃報
井筒部屋 :14代・井筒 好昭(元関脇・逆鉾)
令和元年(2019)9月16日逝去