三段目とは?定員の変遷や給料・「雪駄」解禁の服装規定や幕下との違いを解説

大相撲用語解説。今回は「三段目」について解説します。

入門した新弟子たちがまず目指し、「雪駄を履くまで」と稽古に励む関門が「三段目」です。番付のどこに位置し、下位の序二段や上位の幕下とはどんな違いがあるのでしょうか。その名称の由来から定員の歴史的変遷、服装規定、給料・手当、取組ルールまで分かりやすく解説します。

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三段目とは

大相撲の番付において、幕内、十両(十枚目)、幕下に次ぐ上から4番目の階級を三段目(さんだんめ)と呼びます。

地位の名称は「三段目五枚目」「三段目五十枚目」のように枚数で表され、数字が大きくなるほど下位になります。番付表では文字通り上から3段目に四股名が並び、「同」が8文字連なったその下に、三段目力士の四股名が記載されています。

定員の歴史的変遷と「三段目付出」の扱い

三段目の定員は、時代ごとの所属力士数や制度改正に伴って細かく変遷してきました。かつては場所ごとに人数が変動していましたが、昭和42年(1967年)以降は定員制が定着しています。

  • 戦後最少人数:昭和23年(1948年)5月場所および10月場所の43人(5月場所は東西21枚+番付外1人、10月場所は22枚※西のみ)
  • 史上最多人数:昭和36年(1961年)11月場所の239人(120枚※東のみ120枚目あり)
  • 昭和42年(1967年)5月場所〜:東西100枚の計200人
  • 昭和45年(1970年)9月場所〜:東西80枚の計160人
  • 昭和51年(1976年)5月場所〜:東西90枚の計180人
  • 昭和59年(1984年)1月場所〜:東西100枚の計200人
  • 令和4年(2022年)5月場所〜:力士数の減少に伴い、東西90枚の計180人に削減
  • 令和7年(2025年)1月場所以降:東西80枚の計160人に改編

なお、学生相撲や全日本実業団相撲選手権などで所定の実績を挙げた入門者が「三段目付出(三段目最下位格付出など)」として土俵に上がる場合、この定員とは別の「定員枠外」として扱われます。

三段目付出で初土俵を踏む力士は、「初土俵」となる場所の番付表には四股名が記載されていません(見なし格として本場所に出場する)。前相撲からスタートする新弟子と同様に、初土俵場所の番付には名前の記載がなく、制度上定員枠外として三段目の土俵に上がります。

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付出制度の仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

下駄を卒業し「雪駄」へ!序二段以下からの出世

三段目は、序二段・序ノ口という厳しい入門直後の下積みを抜け出した力士が、初めて「出世の実感」を味わう階級です。足を冷やさない履物を履けるようになることから、相撲界では「雪駄を履くまで頑張る」と言われることもあるほど、三段目昇進は力士人生における最初の大きな節目とされています。

下駄を卒業し「エナメル雪駄」が許される

大相撲の厳格な服装規定において、足元の履物は地位ごとに明確に区別されています。

  • 序二段・序ノ口:素足に「下駄(桐の下駄)」を履きます。
  • 三段目:下駄を卒業し、「エナメル製の雪駄」を履くことが許されます(原則として素足)。

日本相撲協会公式サイトの公式解説(大相撲クイズ No.977)でも、「力士が下駄から雪駄を履けるようになるのは何に昇進したら? → 正解:三段目」と明記されており、冷たい地面から足を保護する雪駄を履けるようになることは、力士にとって大きな誇りとなります。

羽織の着用と身の回りの変化

履物だけでなく、身にまとう衣服や生活環境にも明確なステップアップが認められます。

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  • 羽織の着用:序二段以下の服装は浴衣やウールの着物姿に限られますが、三段目に上がると着物の上に「羽織」を羽織ることが認められます(冬場の外出時などに大きな違いとなります)。
  • 帯と傘の規定:帯はベンベルグ(再生繊維であるレーヨンの一種)などの帯を締め、雨天時の傘は洋傘(通常の傘)を使用します。
  • 生活面での解禁:相撲部屋によっては、厳しい規律のなかで「三段目に上がると携帯電話やスマートフォンの所持・使用が認められる」「自転車に乗ることが許される」といった独自の基準を設けているところもあり、私生活の上でも自由度が広がる節目となります。
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幕下や関取との厳しい壁

下位から見れば晴れて雪駄を履ける三段目ですが、上位である「幕下」や十両以上の「関取」との間には、依然として厳格な格式の差が存在します。

幕下に昇進して初めて許されるもの(足袋・博多帯・番傘)

三段目と幕下を隔てる決定的な身なり規定として、以下の違いがあります。

  • 足袋(黒足袋)の有無:三段目は「素足にエナメル雪駄」ですが、幕下に上がると「黒足袋」を履くことが許されます(日本相撲協会公式の大相撲クイズ No.1168でも解説されている公式規定です)。
  • 帯と傘の格差:幕下になると、高級な「博多織の帯(博多帯)」を締め、伝統的な「番傘や蛇の目傘」を差すことが許されます。
  • 冬の防寒着:幕下になると羽織の上からウールの外套(コート)やマフラーを着用できますが、三段目は羽織までとなります。

幕下の詳しい待遇やまわしの規定については、以下の解説記事をご覧ください。

給料・手当と生活の格差

金銭面や土俵周りの待遇においても、一人前の関取はもちろん、幕下とも明確な差がつけられています。

  • 月給はなく「場所手当」:十両以上の関取のような月給はありません。本場所ごとに支給される「力士養成員場所手当」は、幕下が1場所16万5,000円であるのに対し、三段目は1場所11万円となります。これに加えて本場所の成績に応じた「幕下以下奨励金」が支給されます。
  • まわしと下がり:関取のように絹の締め込みを持つことはできず、稽古で使う黒木綿の廻しをそのまま本場所の土俵でも使用します。まわしの前に挟む下がりも、糊付けされていない柔らかい紐(色は自由)を用います。
  • 土俵下の控え:土俵下で出番を待つ際、座布団は用意されず、直接座って出番を待ちます。
  • 髷(まげ):普段の髪型は「丁髷(ちょんまげ)」です。ただし、十両力士との対戦時や弓取式、初切、床山の練習台、現役引退時の断髪式といった特別な場面では、大銀杏を結うことが容認されています。

三段目の本場所ルールと取組

本場所における三段目の取組は、大相撲の土俵を午前中から午後前半にかけて支える熱戦の舞台です。

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  • 1場所7番の取組:15日間の本場所中に原則として7番の相撲を取ります。4勝3敗以上で「勝ち越し」、3勝4敗以下で「負け越し」となります。
  • 取組の制限時間:仕切りの制限時間は、十両(3分)や幕内(4分)よりも短い2分以内と定められています。
  • 塩と力水:土俵上での塩まきや力水は原則として行われません。
  • 優勝賞金:三段目で7戦全勝などを収めて各段優勝を果たした力士には、優勝賞金として30万円が授与されます。

制限時間や塩まきに関する詳しいルールは、以下の各記事で解説しています。

「出世の分かれ目」と呼ばれる理由

三段目に昇進する頃には、入門当初の初々しさが消え、いわゆる「お相撲さん」らしい堂々たる体格へと成長します。

しかし、ここから幕下、そして関取へと駆け上がるためには、単なる体格やパワーだけでなく、鋭い立ち合い、運動能力、そして実戦的な相撲の技量が強く求められます。稽古場でも関取や幕下上位との激しい稽古が本格化するため、相撲界では「三段目で勝ち越せる実力があるかどうかが、将来関取になれるかの分かれ目」と位置づけられています。

「三段目」のまとめ

三段目は、大相撲の番付において幕内・十両・幕下に次ぐ第4の階級であり、新弟子が下駄を脱いで「雪駄」を履くことを許される最初の栄誉ある地位です。

黒足袋や博多帯、月給といった上位の特権にはまだ手が届かないものの、着物に羽織を重ね、引き締まった体で土俵に上がる姿は一人前の相撲人としての風格を漂わせ始めます。関取という大きな夢へ向かって多くの若手や苦労人が激突する三段目の土俵には、大相撲の明日を担うエネルギーが満ちあふれています。

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他にも気になる相撲言葉が調べたいときは、大相撲用語事典へぜひどうぞ。

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決まり手の解説記事へのリンクは、以下の一覧ページをご覧ください。

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