いよいよ平成30年の大相撲1月場所(初場所)が1月14日より始まります。
先場所は土俵の外では日馬富士による暴行事件があり、土俵上(ある意味、外?)では白鵬による「異例の」本人による物言い事件があり、なんとなく本来の相撲に集中出来なかった方も多いのではないでしょうか。
さて、そんな中でも先場所は若手の活躍が目立っていましたね。北勝富士は終盤まで優勝争いに絡む活躍でしたし、貴景勝も終わってみれば11勝4敗で北勝富士と同じ勝利数でした。
また、ベテランでも隠岐の海と玉鷲が共に11勝4敗と周囲の喧騒を物ともせずに意地を見せてくれました。
もうひとつ、安美錦の千秋楽での勝ち越しとその後の涙のインタビューは感動的でしたね。相撲にかける熱い想いと畏れを感じました。
さて、今回は初場所観戦にあたっての注目ポイントをまとめてみました。ぜひ観戦のお供にどうぞ。
また、初場所のためにとっておきの番付表もご用意しています。番付情報はもちろんですが、それ以外にも先場所の成績や変動枚数、最高位からBMIから昇進のタイミングに通算成績、そして相撲界に入ってからの年月など、いろんな情報を載せてあります。並べ替えも検索も出来ますので、新しい発見もあるはずですよ。ぜひあわせてご覧ください。
平成30年(2018)1月14日~年1月28日
場所:両国国技館(東京)
この記事の目次
AbemaTVで全取組完全無料生中継!
まずは相撲ファン激震のこの話題から。
インターネットテレビ局のAbemaTVは平成30年1月4日に、大相撲の生中継を実施することを発表しました。
この生中継は年間6場所の全90日間で、序ノ口から結びの一番までが完全生中継でしかも無料なのです。
本場所中は午前8時半から放送がスタートで午後6時までの9時間半!
AbemaTVとは、インターネットによるライブストリーミング形式で放送されており、パソコンやスマートフォンによって手軽に誰でも視聴が可能なんです。会員登録なども不要です。
インターネット放送と聞くと画質に難があるのでは?と思う方もいるかもしれませんが、AbemaTVは画質がとても良いので、普通の地上波デジタルと同じように快適に大相撲観戦が出来ると思います。
AbemaTVの視聴方法をまとめましたので、興味のある方はこちらの記事もどうぞ。何と言っても会員登録不要の無料ですので一度は観てみる価値がありますね!
懸賞申込みが過去最高に
初場所の15日間の指定懸賞の本数が2239本となっており、場所前で過去最高だった昨年夏場所の2219本(最終的には少し減って2153本)を上回っているようです。
これは12日時点の協会担当者の発表によるもので、昨今の事件や問題等による申し込み控えや取りやめもないとのこと。
昨年の初場所が約1850本だったことを考えると、たしかに影響はなさそうですね。
力士を指定する懸賞は本数非公開ながら稀勢の里がトップで白鵬がそれに次ぐとのこと。また御嶽海や高安に豪栄道、そして若手のホープ阿武咲にも人気が集まっているようです。
懸賞申込みが最多なのは様々な問題によって良くも悪くも大相撲に注目が集まっているからかもしれませんが、ここは土俵上での好取組によって「角界」の名誉を挽回してもらいたいところです。
白鵬が横綱在位63場所に
初場所で白鵬の横綱在位が63場所となり、北の湖と並んで史上1位となります。大きな怪我や暴行事件による余波がない限りは3月場所も横綱でいることは間違いない白鵬ですから、また新たな「白鵬がトップ」記録誕生となりそうです。
順位 | 四股名 | 在位 場所数 | 横綱昇進 | 最終場所 | 横綱での 成績と勝率 | 横綱での 優勝回数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 北の湖 | 63 | 昭和49.9 | 昭和60.1 | 670勝156敗 (81.1%) | 22回 |
1 | 白鵬 | 63 | 平成19.7 | 776勝102敗 (88.4%) | 37回 | |
3 | 千代の富士 | 59 | 昭和56.9 | 平成3.5 | 625勝112敗 (84.8%) | 29回 |
4 | 大鵬 | 58 | 昭和36.11 | 昭和46.5 | 622勝103敗 (85.8%) | 29回 |
5 | 貴乃花 | 49 | 平成7.1 | 平成15.1 | 429勝99敗 (81.3%) | 15回 |
6 | 曙 | 48 | 平成5.3 | 平成13.1 | 432勝122敗 (78.0%) | 8回 |
7 | 柏戸 | 47 | 昭和36.11 | 昭和44.7 | 407勝147敗 (73.5%) | 4回 |
7 | 輪島 | 47 | 昭和48.7 | 昭和56.3 | 466勝142敗 (76.6%) | 12回 |
9 | 朝青龍 | 42 | 平成15.3 | 平成22.1 | 463勝91敗 (83.6%) | 23回 |
10 | 千代の山 | 32 | 昭和26.9 | 昭和34.1 | 239勝103敗 (69.9%) | 3回 |
4場所連続の関脇
関脇:御嶽海(長野県)出羽海部屋
4場所連続での関脇、三役としては6場所連続となった御嶽海。
去年1年間関取だった力士のなかで6場所すべて勝ち越しているのはこの御嶽海と阿武咲だけで、6場所すべて幕内に限ると御嶽海ただ一人でした。
さて、前回と同じく今回も直近6場所の星取表と対戦成績をまとめてみましたが直近3場所での勝利数は26勝、2場所でみても17勝で、大関への昇進に必要だと言われている「三場所連続三役で33勝以上」の勝利数には今回全勝しても届かなそうです。
対戦成績をみると上位陣との対戦はほぼ互角なので、コンスタンスに2桁の勝利数をあげるためには平幕相手の取りこぼしを減らしていきたいところです。
横綱がひとり引退し、照ノ富士も平幕に陥落した今、新たな大関が誕生することで角界は「正常な」盛り上がりを見せてくれると思いますので、この御嶽海の活躍に期待したいところですね。
場所 | 番付 | 星取表 | 勝敗 | 三賞 | 金星 |
---|---|---|---|---|---|
平成29年1月 | 西前頭筆頭 | 〇☆●☆●〇●〇〇〇〇〇●〇〇 | 11勝4敗 | 技能賞 | 2個 |
平成29年3月 | 東小結1 | ●〇〇●□●●●〇〇●〇〇〇〇 | 9勝6敗 | ||
平成29年5月 | 東小結1 | 〇〇〇●●●●●●〇〇〇〇〇● | 8勝7敗 | 殊勲賞 | |
平成29年7月 | 西関脇1 | 〇〇●●〇〇〇●〇〇〇●●●〇 | 9勝6敗 | 殊勲賞 | |
平成29年9月 | 東関脇1 | ●●〇●〇〇〇●〇●●〇〇●〇 | 8勝7敗 | ||
平成29年11月 | 東関脇1 | ○●○○□○●●●○○●●○○ | 9勝6敗 | ||
総計 | 54勝36敗 |
対戦 | H2901 | H2903 | H2905 | H2907 | H2909 | H2911 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
横綱 | 2勝1敗 | 1不戦勝3敗 | 2勝2敗 | 2勝1敗 | 1敗 | 1敗 | 7勝9敗 |
大関 | 2勝2敗 | 1敗 | 2敗 | 2敗 | 1敗 | 1勝1敗 | 3勝9敗 |
関脇 | 2勝 | 1勝2敗 | 2勝1敗 | 1勝 | 1勝 | 1勝1不戦勝 | 9勝3敗 |
小結 | 1勝 | 1勝 | 1敗 | 2勝 | 1勝1敗 | 2勝 | 7勝2敗 |
横綱・三役 | 7勝3敗 | 3勝6敗 | 4勝6敗 | 5勝3敗 | 2勝3敗 | 5勝2敗 | 26勝23敗 |
平幕 | 4勝1敗 | 6勝 | 4勝1敗 | 4勝3敗 | 6勝4敗 | 4勝4敗 | 28勝13敗 |
小結で肩を並べた貴景勝と阿武咲
東小結:貴景勝(兵庫)貴乃花部屋
西小結:阿武咲(青森)阿武松部屋
同年齢で子供の頃から切磋琢磨してきた二人が遂に三役で肩を並べました!
高校を中退しての角界入りの為、初土俵は阿武咲の方が1年半ほど先でしたが、入幕は貴景勝が平成29年1月場所で阿武咲は5月場所と貴景勝の方が先。しかし三役昇進は阿武咲が11月で果たして先行するというように、お互いが競い合うように出世してきましたが、ここで二人は小結として肩を並べることになりました。
ただ、阿武咲にとって悔しいのは、自身も先場所勝ち越したのに番付を据え置かれたうえに貴景勝に半枚越されてしまったことです。
プライベートでは大の仲良しの二人ですが、それが故に土俵上では気合の入った取組をみせてくれます。初場所でお互いが対戦する時にはどんな成績になっているのか?楽しみですね。
四股名 | 場所数 | 初土俵 | 幕下昇進 | 新十両 | 新入幕 | 新三役 |
---|---|---|---|---|---|---|
阿武咲 | 31場所目 | 平成25.1 | 平成25.11 | 平成27.1 | 平成29.5 | 平成29.11 |
貴景勝 | 21場所目 | 平成26.9 | 平成27.5 | 平成28.5 | 平成29.1 | 平成30.1 |
次の新三役を目指す北勝富士
西前頭3枚目で11勝4敗の好成績だった先場所、通常であれば小結に昇進してもおかしくない成績ですが、上位陣も勝ち越していたため、今場所は前頭筆頭で様子見となった北勝富士。
それでも先場所13日目までの相撲は成績はもちろん見応え充分な内容で、押し相撲としては珍しく技能賞を獲得しました。今場所は前頭筆頭なので対戦相手は上位陣ばかりと更に厳しくはなりますが、ここを一気に突破して、御嶽海を先頭に若手による土俵の新陳代謝をより進めて欲しいところです。
新入幕
東前頭14枚目:阿炎(埼玉)錣山部屋
錣山部屋からは平成16年の創設以来3人目となる幕内力士となった阿炎(あび)。
平成25年(2013年)5月場所が初土俵の阿炎は平成6年5月4日生まれの23才です。
四股名の読み方の「あび」は、師匠である錣山親方(元関脇・寺尾)の愛称と同じなんですよ。
この不思議な「あび」という愛称は「a baby」から来ているそうで、何故かというと井筒部屋の三男として生まれた寺尾がまだ赤ちゃんの頃、部屋の見学に来ていた外国人が寺尾を見て「a baby!」と呼んだのを、長兄である元十両鶴嶺山と次兄である元関脇・逆鉾(現井筒親方)が「アビ」と言っていると勘違いしたことが由来らしいです。
阿炎と名付けた錣山親方によると「阿修羅のように強く、燃えて闘う」という想いで付けており「磨けば光るところばかり」と、自分の番付を超える逸材だと認めているようです。
長い手足を活かした突っ張りと喉輪で速い攻めを見せる阿炎の相撲は幕内でどれぐらい通用するのか楽しみです。
東前頭16枚目:竜電(山梨)高田川部屋
山梨県出身の竜電(りゅうでん)は昭和63年3月場所の大乃花以来、実に30年ぶりの山梨県出身の幕内力士となりました。
中学卒業後の平成18年(2006年)3月場所に初土俵を踏んだ竜電は、平成24年(2012年)11月場所には新十両への昇進を果たしましたが、その場所の8日目に右股関節を骨折、翌9日目から休場となり1場所で幕下に陥落してしまいました。
その後も同じ箇所を3度も骨折するなど怪我のために休場が続き、なんと序ノ口にまで落ちてしまいます。序ノ口に落ちて全休してしまうと番付外になってしまうため、場所の7番相撲だけを取ってどうにか首の皮を繋ぎとめた状態が4場所も続きました。
しかし、素直で真面目な性格の竜電は腐ることなく努力をつづけ、ようやく回復した平成26年(2014年)9月場所で序ノ口での7戦全勝優勝を飾ると翌場所の序二段も7戦全勝、さらに次の場所も三段目で全勝優勝を遂げて復活をアピールしました。
平成28年(2016年)11月には4年ぶりとなる十両への再昇進を果たした竜電は堅実に勝ち越しを積み上げて今場所での新入幕を決めました。
関取経験者が序ノ口にまで陥落してからの新入幕は、平成4年(1992年)11月場所の琴別府以来、史上2人目となる快挙なんですよ!
新十両
東十両13枚目:水戸龍(モンゴル)錦戸部屋
錦戸部屋初の関取となる水戸龍(みとりゅう)はモンゴル出身の24才で、本名はバーサンスレン・トゥルボルドといいます。
日本大学時代には3年次に全日本相撲選手権大会で優勝しアマチュア横綱のタイトルを獲得、4年次には全国学生相撲選手権大会で優勝し学生横綱のタイトルも獲得しました。
幕下15枚目格付出しで臨んだ平成29年(2017年)5月場所では3勝4敗とまさかの負け越しとなりましたが、翌場所からは本来の実力を発揮して今場所での新十両昇進を決めました。
トゥルボルドが日本にやって来たのは平成21年(2009年)と意外と前なのですが、その時おなじ飛行機に乗っていたのはガントルガ・ガンエルデネとアルタンホヤギーン・イチンノロブ、つまり照ノ富士と逸ノ城なんですね!
東十両14枚目:天空海(茨城県)立浪部屋
立浪部屋の天空海(あくあ)は平成22年(2010年)11月が初土俵の27才。
入門当初は豊乃浪(とよのなみ)という四股名でしたが、平成26年(2014年)3月場所より天空海へと改名、これは成績に波があったので豊乃浪の「浪(なみ)」を取って成績の「波(なみ)」を無くしたかったと決断したらしく、入門時に師匠の立浪親方(元小結・旭豊)が考えていてくれた「阿久亜」という読みはそのままに、上昇の願いを込めた「天」と地元茨城県大洗町の「空」と「海」をイメージしたものです。
ちなみに「阿久亜」は地元の「アクアワールド茨城県大洗水族館」が元らしいですよ。
宇良は全休
先場所は全休だった人気力士の宇良ですが、残念ながら初場所も全休するようです。
昨年7月の名古屋場所で右膝を負傷し、翌9月場所は貴景勝との熱戦で怪我を悪化させて3日目から途中休場、11月場所は「右膝前十字靭帯損傷、左膝半月板損傷」で全休となり場所後に右膝の手術へと踏みきりました。
今場所は東十両11枚目に落ちていた宇良なので、初場所を全休すると来場所は幕下への陥落が確実となってしまいます。
非常に残念ですが、しっかりと怪我を治してまた華のある相撲を見せてほしいところです。
また、西十両9枚目の豊響は1週間ほど前から具合が悪く、不整脈で初日から休場するとのこと。ただ、師匠の境川親方によると大事を取っての休場で、回復をみて途中出場する予定らしいです。
幕下の注目ポイント
幕下5枚目まですべてが関取経験者
矢後と照強の十両陥落と、明瀬山、豊ノ島、そして常幸龍の先場所好成績によって、今場所の幕下5枚目までは何と関取経験者が並ぶことになりました。
どの力士もこのままでは終われないと再十両昇進を虎視眈々と狙っているはずなので、きっと熱い取組が観れるはずです。
※追記…と記事を書きましたが本場所直前に東幕下3枚目の北太樹の引退が発表されました。びっくりですね!
幕下陥落 年月 | 最高位(年月) | 東 | 番付 | 西 | 最高位(年月) | 幕下陥落 年月 |
---|---|---|---|---|---|---|
H30.1 | 十両13(H29.9) | 矢後 | 筆頭 | 照強 | 十両9(H29.11) | H30.1 |
H28.11 | 十両7(H28.7) | 朝弁慶 | 二枚目 | 志摩ノ海 | 十両14(H28.7) | H28.9 |
H29.9 | 前頭2(H25.5) | 北太樹 | 三枚目 | 翔猿 | 十両14(H29.7) | H29.9 |
H29.11 | 前頭15(H28.7) | 北はり磨 | 四枚目 | 明瀬山 | 前頭16(H28.3) | H28.7 |
H28.11 | 関脇(H24.5) | 豊ノ島 | 五枚目 | 常幸龍 | 小結(H26.9) | H28.7 |
東幕下6枚目:炎鵬(石川県)宮城野部屋
やはり注目力士の目玉は炎鵬(えんほう)でしょう。先場所は1番相撲で常幸龍に敗れ、初土俵以来の連勝が21でストップしてしまいましたが、それでも終わってみれば5勝2敗の好成績。
白鵬の内弟子として宮城野部屋へ入門し、白鵬から「炎鵬」という四股名を命名してもらった炎鵬は、わずか6場所で新十両昇進が狙える位置にまであがってきました。
関取経験者が多数ひしめき合う幕下上位でどれだけの成績を残せるのか?大いに注目したいところです。
西幕下30枚目:竜虎(熊本県)尾上部屋
熊本の宇土市出身で、同郷の幕内・正代とは同じ相撲クラブで共に汗を流してきた竜虎(りゅうこう)。1月場所の前相撲から28勝7敗の好成績で順調に上がってきました。
東幕下31枚目:友風(神奈川県)尾車部屋
音大と角界とで相撲を選んだ「ピアノ力士」として騒がれた友風は先場所も7戦全勝で三段目優勝を決め、一気に82枚も番付を上げてきました。昨年5月の初土俵以来20勝1敗という成績は圧巻です。
友風の目標は、同部屋の兄弟子、嘉風が遂げた関取までの所要場所と同じ「関取の座まで8場所で到達すること」ですが、5場所でここまで来た友風ならひょっとしたら出来るかも!?
東幕下55枚目:田邉(岐阜県)木瀬部屋
平成29年3月の初土俵から23勝5敗と好成績の田邉は炎鵬と高校・大学の同級生。炎鵬のような派手さはないものの着実に番付をあげてきました。
西幕下57枚目:海士の島(島根県)八角部屋
昨年の9月場所では一場所で幕下から跳ね返された海士の島(あまのしま)ですが、また戻ってきました。
決まり手の16%が「足取り」という異色の力士は、果たして今場所どこまで活躍出来るのか!?幕下定着を目指して頑張ってもらいたいです。
大鵬の孫と朝青龍の甥が前相撲
もしかして、今場所最大の話題となっているのは、まだ番付にも載っていない新弟子2人なのかも?
「大鵬の孫」納谷幸之介
相撲に関心を持ち始めると、あちこちで名を耳にするであろう「昭和の大横綱」大鵬。
昭和36年(1961)9月場所後にライバル柏戸と共に横綱に推挙され、ふたりで「柏鵬(はくほう)時代」という相撲の黄金時代を築きましたが、この第48代横綱の孫である納谷(なや)幸之介(大嶽部屋)が新弟子検査に合格し、今場所前相撲で初土俵を踏んだのです!
「相撲の名門校」埼玉栄高校で相撲に取り組んできた納谷は、本当であれば昨年の九州場所で前相撲デビューをするはずでしたが、昨年秋の愛媛国体相撲(少年男子)において個人と団体での優勝を果たした為に12月の全日本相撲選手権大会の出場権を獲得。
結果は予選3回戦で惜しくも敗れて予選敗退となりましたが、こちらは大学生や社会人も出場する大会なので、まずは実力充分とみていいでしょう。
元関脇・貴闘力が父
「大鵬の孫」であることが注目されている納谷ですが、実は元関脇・貴闘力の息子(三男)でもあります。貴闘力といえば「若貴兄弟」の兄弟子であり藤島・二子山部屋の黄金時代をともに築いた激しい相撲が魅力な敢闘賞10回の猛者。
大鵬の三女と結婚した貴闘力は、息子から「偉大なおじいちゃん」の大鵬と自分の成績とを比べられて困っていたそうですが、平成12年(2000)3月場所で幕尻での初優勝を決めると「どうだ、父ちゃんだって強いんだぞ!」とようやく言えるぞと喜んだそうです。
野球賭博問題への関与によって貴闘力(当時、大嶽親方)は解雇処分を受けてしまい納谷の母とは離婚、そして大鵬との養子縁組も解消されて、平成25年の大鵬の葬儀への出席も許されなかったそうですが、相撲への熱い想いは離れ離れになった息子へと注がれていました。
祖父と父が親方だった大嶽部屋への入門
祖父が大鵬部屋として創設し、父が大嶽部屋として継承した部屋への入門となった納谷は、このように「大相撲の血」が脈々と流れた逸材なんですね。
もちろん、国体での優勝などで本人の実力も折り紙つきですから、今場所は前相撲から大注目ですね!
因みに、新序出世披露(しんじょしゅっせひろう)では大鵬の化粧まわしを使うらしいです!これも楽しみですね。
「朝青龍の甥」ビャンバスレン
さあ、前相撲注目のもう一人は「大晦日での復活」が話題となった第68代横綱・朝青龍の甥っ子、スガラクチャー・ビャンバスレン(立浪部屋)です。
千葉の日体大柏高校に通うビャンバスレンは、昨年秋の愛媛国体相撲(少年男子)で、個人と団体ともに3位の成績をあげており、立浪部屋への入門を決めました。この立浪部屋と納谷の大嶽部屋とは貴乃花一門で同門となります。
15日に「豊昇龍(ほうしょうりゅう)」の四股名でデビューすると発表されましたが、これは師匠の立浪親方の現役時の四股名「旭豊」の「豊」と、朝青龍の「龍」から一文字ずつ貰ったものなんです。「昇」も「青」にして朝青龍から2文字もらう案もあったらしいですが、立浪親方が「違う字で昇があるよ」と勧めたようです。
もともとはモンゴルからレスリングで留学してきたビャンバスレンですが、相撲観戦に訪れたところ日馬富士の取り口に感激して叔父である朝青龍に頼みこみ相撲に転向した経緯があり、目標を「叔父は強い横綱、僕も叔父と同じ横綱までいかないとダメ。一番強い力士になりたい」と語る豊昇龍。
この豊昇龍と納谷との「前相撲対戦」はかなりの注目になりそうですね。
前相撲について、詳しく知りたい方はこちらで解説記事をご用意しています。
⇒ 前相撲とは何?意味と仕組みを解説
北太樹の小野川襲名による名跡ドミノ
番外編としてこちらをご紹介。
1月13日に東幕下3枚目の北太樹(最高位幕内2枚目)の現役引退と年寄・29代小野川の襲名が理事会で承認されたと発表されました。
これに伴い、阿武松部屋の部屋付親方だった28代小野川(元幕内・大道)が名跡変更によって21代音羽山を襲名、さらに貴乃花部屋の部屋付親方だった20代音羽山(元幕内・光法)は相撲協会を同日付で退職したことも発表されましたね。
元々「小野川」の名跡は故・北の湖が持っていたもので、様々な親方に貸していたのですが、現在は北の湖の遺族が持っていると思われます。今回は、旧北の湖部屋である山響部屋の北太樹が引退するということで、大道は「年寄株」の返却を求められたようです。
この煽りを食らって名跡を失い退職となった光法ですが、実は、宮城野部屋の部屋付親方(5代安治川)だった平成10年の理事選挙のとき、部屋の一門である立浪一門の候補者ではなく貴乃花に投票した「造反」が問題になり、一時は退職の意向を示したが後に撤回。その後、貴乃花部屋へと移籍した過去がありました。
当時の貴乃花にとっては「貴重な一票」を投じてもらったわけですが、その光法の退職はまた何やら裏がありそうですね…。