序二段とは?定員がない理由や給料・下駄の服装規定と由来を徹底解説

大相撲用語解説。今回は「序二段」について解説します。

序ノ口を脱出した力士たちが集まり、本場所の土俵で最も多くの力士がしのぎを削る階級が「序二段」です。番付のどこに位置し、なぜ定員がないのでしょうか。その名称の意外な由来から、素足に下駄という厳しい服装規定、手当・給料、取組ルールまで分かりやすく解説します。

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序二段とは

大相撲の番付において、幕内、十両、幕下、三段目に次ぐ上から5番目、下から2番目の階級を序二段(じょにだん)と呼びます。

地位は「序二段筆頭(一枚目)」「序二段五十枚目」のように枚数で表され、数字が大きくなるほど下位になります。番付表では下から2段目にあたり、「同」が6文字連なったその下に、細い文字で序二段力士の四股名が記載されています。

なぜ「四段目」ではなく「序二段」と呼ぶのか?

大相撲の階級を上から数えると、幕内、十両・幕下(幕下二段目)、三段目に次いで4番目にあたります。実際、江戸時代の番付では文字通り「四段目」と呼ばれていました。

それがなぜ「序二段」と呼ばれるようになったのでしょうか。日本相撲協会の公式解説(大相撲クイズ No.1138)によると、古来より「四」という数字が「死」を連想させて縁起が良くないと考えられたため、一番底である「序ノ口」の上の二段目という意味を込めて「序二段」と改められたという経緯があります。

「序ノ口(一番下)」という入り口から出世階段を1つ上がった二段目という意味が込められた、相撲界の伝統と縁起担ぎが色濃く残る名称です。

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定員がない理由と人数の歴史的変遷

大相撲の番付の中で、序二段と序ノ口には明確な定員が定められていません

関取(幕内42名・十両28名)はもちろん、幕下(120名)や三段目(令和7年以降は160名)には厳格な定員枠が存在します。しかし、相撲界全体の所属力士数は新弟子の入門や引退によって毎場所増減するため、あらかじめ定員が定まっている三段目以上の枠からあふれた力士たちを、序二段と序ノ口で分け合う構造になっているためです。

このため、序二段の力士数は時代ごとの大相撲人気や力士数の増減によって大きく変動してきました。

  • 戦後最少人数:昭和20年(1945年)11月場所の39人(東18枚・西21枚)
  • 史上最多人数:「若貴ブーム」で新弟子が殺到した平成6年(1994年)5月場所の420人(東西210枚)
  • 平成以降の最少:平成26年(2014年)3月場所の178人(東西89枚)
  • 近年の規模:おおむね東西80〜100枚前後(約160人〜200人強)で推移しています。

なお、新弟子が多く入門する春場所(3月場所)の直後である5月場所(夏場所)は、前相撲から大量の新弟子が序ノ口に上がってくるため、序二段と序ノ口の比率は「3対1」程度、それ以外の場所は「4対1」程度を目安に番付が編成されています。

素足に下駄!序二段の厳しい服装・身なり規定

序二段は、出世階段を1歩上がったとはいえ、立場としては「力士養成員」の下積みの真っ只中です。上位の三段目や幕下と比べると、生活や身の回りには極めて厳格な制限が課されています。

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履物は素足に「下駄」のみ

大相撲の服装規定において、足元の履物は地位を象徴する重要な要素です。

  • 序二段・序ノ口:外出時は素足に「下駄(桐の下駄)」を履きます。
  • 三段目以上:下駄を卒業し、「エナメル製の雪駄」を履くことが許されます。
  • 幕下以上:さらに「黒足袋」の着用が許されます。

三段目に上がって初めて雪駄が許されるため、序二段力士は真冬の厳しい寒さであっても、素足に下駄をカラコロと鳴らして場所入りや買い出しを行わなければなりません。だからこそ、若手力士たちは「一日も早く雪駄を履きたい」と稽古に励む原動力となっています。

着物・帯・傘の規定

身にまとう衣服や持ち物にも、細かな規定が設けられています。

  • 着物:普段の服装は浴衣、またはウールの着物姿に限られます。三段目以上で許される「羽織」の着用は認められていません
  • 帯:木綿の帯を締めます(三段目はベンベルグなどの帯、幕下は高級な博多帯となります)。
  • 傘:雨の日は洋傘(通常の傘やビニール傘)を使用します。幕下以上のように伝統的な番傘や蛇の目傘を差すことはできません。
  • 髷(まげ):髪型は「丁髷(ちょんまげ)」です。原則として大銀杏を結うことはできません。

三段目への昇進で解禁される「雪駄」や「羽織」の規定については、以下の解説記事をご覧ください。

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給料・手当と生活環境

金銭面や部屋での生活環境においても、一人前の関取とは全く異なる厳しい環境に置かれています。

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  • 月給はなく「場所手当」:毎月の月給はありません。本場所ごとに支給される「力士養成員場所手当」は1場所8万8,000円(年間約53万円)です。これに加えて本場所の成績に応じた「幕下以下奨励金(勝星1つにつき1,500円、勝ち越し3,500円など)」が支給されます。
  • 大部屋生活と雑用:相撲部屋では大部屋で寝起きし、稽古後のちゃんこ番(食事作り)、掃除、洗濯、兄弟子や関取の付け人としての世話など、朝から晩まで多忙な雑務をこなします。
  • まわしと下がり:本場所用の締め込みはなく、稽古で使う黒木綿の廻しをそのまま本場所の土俵でも使用します。下がりも糊付けされていない柔らかい紐状のものを用います。
  • 土俵下の控え:土俵下で出番を待つ際、座布団は敷かれず、畳の上に直接座って待機します。

序二段の本場所ルールと取組

序二段の取組は、本場所の午前中から正午過ぎにかけて行われます。

  • 1場所7番の取組:15日間の本場所中に7番の相撲を取ります。4勝3敗以上で「勝ち越し」、3勝4敗以下で「負け越し」となります。
  • 制限時間は2分:仕切りの制限時間は幕下以下共通の2分以内と定められており、制限時間いっぱいで行司から「構えて」と声がかかります。
  • 塩と力水はなし:土俵上での塩まきや力水は行われません。
  • 優勝賞金:各段優勝を果たした力士には、優勝賞金として20万円が授与されます。

制限時間や土俵上のルールについては、以下の記事で詳しく解説しています。

人数が多いため「全勝対決」や決定戦が頻発

序二段は全階級の中で最も在位人数が多い階級です。大相撲の幕下以下では同じ勝敗同士の力士が対戦するスイス式トーナメントに近い割が組まれますが、人数があまりにも多いため、7戦全勝の力士が1場所で複数人出ることが珍しくありません。

そのため、千秋楽に7戦全勝同士による「序二段優勝決定戦」が行われることが多くなっています。また、3人以上の全勝者による巴戦(優勝決定戦)が行われることもあります。

奇跡の復活劇!元大関・照ノ富士の序二段転落からの横綱昇進

序二段といえば、若手力士が通過する下積み階級というイメージが一般的ですが、怪我や病気による長期休場から再起を期す実力者が土俵に上がるドラマの舞台でもあります。

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大相撲の歴史において最も有名なエピソードが、第73代横綱・照ノ富士の復活劇です。大関として活躍していた照ノ富士は、両膝の大怪我や内臓疾患によって番付を転落し続け、平成31年(2019年)3月場所には「西序二段48枚目」まで陥落しました。

元大関が序二段まで落ちた前代未聞の事態でしたが、照ノ富士はそこから不屈の闘志で稽古を重ね、序二段優勝、三段目優勝、幕下優勝と驚異的なスピードで駆け上がり、関取復帰、大関復帰、そして奇跡の「横綱昇進」を果たしました。序二段の土俵には、夢を追う若手だけでなく、どん底から這い上がろうとする男たちの熱いドラマが息づいています。

「序二段」のまとめ

序二段は、大相撲の番付において三段目の下に位置し、最も多くの力士が在位する階級です。

「四(死)」を避けて名付けられた歴史を持ち、素足に下駄を履き、羽織も許されない厳しい身なり規定のなかで、力士たちは「雪駄を履くこと」「一人前の関取になること」を夢見て泥にまみれています。大相撲の土俵を足元から支える序二段力士たちの7番の熱戦には、相撲道の本質ともいえる純粋な闘志が宿っています。


他にも気になる相撲言葉が調べたいときは、大相撲用語事典へぜひどうぞ。

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