飛び付きとは?大相撲にまつわる言葉【用語解説】

大相撲用語解説。相撲にまつわる言葉をご紹介!

大相撲の解説や本などで耳にしたり目にしたりすることがある「飛び付き(とびつき)」。この大相撲独特の「飛び付き」という言葉について解説していきます。

稽古方法のひとつ

現在、「飛び付き」というとまず指すのはこれ。相撲の稽古方法のひとつです。

この稽古は、どの力士が取るかなど順番を決めずに我勝ちにと土俵に入っていき、仕切りをせずにいきなり対戦して行われます。

積極的に行かなければ土俵で相撲を取ることはできず、周囲で見守るだけで稽古が終わってしまう。ハングリー精神も養えそうな稽古ですね。

昔は序二段以下だけで40~50人もいた大部屋もあり、仕切りをしていては時間がいくらあっても足りません。稽古といっても飛び付きだけだったこともあったようです。

一番でも多く相撲をたいと、わあっと土俵にもみ合うように入っていきますが、なかなか取ることが出来ずに1日一番しか取れないこともザラッだったとか。

申し合いとの違い

相撲に詳しい方ならば「申し合い(もうしあい)」という稽古もご存知だと思います。

この稽古も特に順番を決めずに行われる勝ち抜き戦形式の稽古ですが、飛び付きと申し合いのおおきな違いは、申し合いは仕切りをして取り組むということです。

仕切りをして取り組み、勝った力士は土俵に残って次の相手を指名する。負けた力士は土俵を出る。このように行われる申し合いは、勝てば勝つほど稽古量が増えていきます。

花相撲の余興

「飛び付き」という言葉は、花相撲でも耳にする機会があります。

巡業や福祉相撲、引退相撲のことを「花相撲(はなずもう)」と言いますが、この花相撲で仕切りなしで行われる勝ち抜き戦のことも「飛び付き」と呼んでいます。

初切りや相撲甚句、太鼓の打分けなど本場所で観ることが出来ない催しを楽しめる花相撲ですが、そのひとつとして相手を連続して五人負かす「飛び付き五人抜き」が行われることがあります。

このような対戦は本場所では観ることができないものであり、ふだんの雰囲気とはまた違った相撲を楽しむことができます。

前相撲の別称

現在では稽古や花相撲でしか観ることが出来ない飛び付きですが、昔は本場所でも観ることができました。

と言っても本割ではなく前相撲でのことです。

現在は前相撲でも仕切りを1回してから対戦をしていますが、昔は仕切りをせずにいきなり立ち合って取り組んでいました。

このことから前相撲や前相撲力士のことを「飛び付き」と呼ぶこともありました。

飛び付きの廃止

昔は年間の場所数も少なく、また力士を志す若者も多くいたこともあり、前相撲を取る新弟子も必然的に多かったようです。

そのため飛び付き方式で前相撲が行われていましたが、昭和16年(1941)12月に戦争が始まると新弟子の数は減り、昭和19年(1944)夏場所からは仕切りを1回するように改められました。

戦後、新弟子が増えたこともあり飛び付きが復活した時期もありましたが、新弟子の数がふたたび減ってきた昭和40年代の終わり頃に前相撲の飛び付きは廃止され、仕切りを1回する形式に改められて現在に至ります。

メモ

この飛び付きの廃止については新弟子の数だけではなく、飛び付きはそもそも危険だという議論もあったようです。

「飛び付き」のまとめ

「飛び付き」という用語の意味をまとめておきましょう。

稽古方法のひとつ 仕切りをせずに対戦を行う稽古
花相撲での余興 相手を連続して五人負かす「飛び付き五人抜き」
前相撲の別称 飛び付き方式だった前相撲や前相撲力士のことを指す別称

「飛び付き」という用語のポイントは「仕切りをしない」ということでしたね。

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