『相撲のルール・作法と技』カテゴリー記事-Part4

純粋な競技としての相撲の勝負判定や技、および土俵上の伝統的な所作に関するカテゴリー群です。

【大相撲の決まり手】内掛けとはどんな技?カカトを狙う足技の妙技

取組の見所である「決まり手」。大相撲には現在これだけの技が存在します。

82
決まり手
6
分類
5
非技
8
反則

📋 全82手+相撲技術の解説記事一覧・出現頻度ランク付き →

この記事では、全82手ある決まり手のうちのひとつ、「内掛け(うちがけ)」について解説していきます。

大きく6種類に分けられる決まり手のうち、内掛けは「掛け手(かけて)」に属します。

相手の足を巧みに攻めて仰向けに倒す、相撲の醍醐味を味わえる伝統的な足技ですが、近年では見られる機会が少し減りつつある決まり手でもあります。

スポンサーリンク

内掛けとはどんな技?

内掛けは、自分の足(右足なら相手の左足というように逆の足)を相手の足の内側から掛け、その足を自分の方へ引きながら、体を突きつけるようにして相手を仰向けに倒す技です。

足が掛かった瞬間に自分の体重を相手に預け、廻しを強く引き付けて倒すのが基本動作となります。


決まり手出現頻度
★★★☆☆
(ランクC)
1年に数回程度見られる決まり手。

※かつては多くの名手が得意としていましたが、現在では一場所の中で見られる回数は限られており、頻度は「たまに見られる(Cランク)」程度となっています。

内掛けを極める鉄則「カカト狙い」の理屈

ただ単に相手の足に自分の足を掛けるだけでは、相手は簡単には倒れてくれません。掛ける位置が高すぎると相手にこらえられ、逆に逆襲を食らってしまう危険性があります。

そのため、内掛け(および外掛け)においては昔から「相手の足首(カカト付近)に掛けろ」というのが定法とされています。
この理屈は、斜めに立てかけた「つっかえ棒」を想像すると分かりやすいです。上から重さがかかっているため、上部を無理に引っ張ってもなかなか動きませんが、地面に接している根元を手前に引けば簡単にバランスを崩して倒れます。相手の全体重を支えている一番低い位置、つまりカカト付近を狙って掛けるのが、内掛けを美しく決めるための理想的な形なのです。

スポンサーリンク

「外掛け」との違い(判定基準)

名前が対になっている「外掛け」との決定的な違いは、「足を掛ける位置」にあります。

両者ともに相手の足を引いて仰向けに倒すという力学は似ていますが、相手の足に対して「内側」から自分の足を絡ませるのが内掛け「外側」から絡ませるのが外掛けとなります。

力士の大型化と内掛けの減少

古くから使われてきた内掛けですが、近年では決まり手全体に占める割合が低くなっています。
その大きな要因は、力士の「大型化」です。小兵力士が大型力士の懐に飛び込んで見事にひっくり返す内掛けは、ファンにとって息を飲むような名人芸でしたが、力士の体重が増加し体格が大きくなった現代では、相手の懐に入り込んで足を掛けること自体が非常に難しくなっていると言われています。

内掛けの名手たちとエピソード

時代ごとに「内掛けの名手」と呼ばれる力士たちが存在し、彼らはファンを大いに沸かせてきました。

  • 新海(前頭):昭和初期の土俵をにぎわせた力士で、そのしつこい足技から「タコ足新海」と恐れられました。一度内掛けに絡みつかれたら脱出するのは困難だったと言われています。
  • 琴ヶ濱(大関):「南海の黒ヒョウ」と呼ばれ、内掛けといえば琴ヶ濱の代名詞でした。実はこの内掛け、三段目時代に左ヒザを負傷し、右足で支えて浮いた左足で内掛けをするようになったという「ケガの功名」から生まれたものでした。幕内で101回も内掛けを決めるなど、昭和30年代に大活躍しました。
  • 増位山親子(ともに大関):父親の初代増位山は、双葉山を内掛けで破ったこともある実力者で、この技を「伝家の宝刀」としていました。息子の二代目増位山もまた内掛けを得意としましたが、水泳選手だった柔らかな体を活かし、ふわっと出る立ち合いから左右の内掛けを繰り出すという、父親とは違ったタイプの技能派でした。
  • 時天空(小結):モンゴル出身の時天空は、近年の足技の名人として知られていました。相手のカカトを巧みに掛けて倒す技術に優れ、相手が蹴手繰り(けたぐり)などを警戒して足を上げてきた隙を突いて内掛けにいくなど、絶妙なタイミングで技を繰り出しました。

令和8年7月場所「内掛け」各段勝利数

令和8年7月場所で、決まり手「内掛け」で勝利した力士を各段ごとにリストアップしました。内掛けでの勝利数と番付順になっています。同一成績多数の場合もありますので、上位20名とさせていただきました。

幕内の決まり手「内掛け」で勝った力士

該当者無し

十両の決まり手「内掛け」で勝った力士

該当者無し

幕下の決まり手「内掛け」で勝った力士

勝利数 四股名 番付 部屋 出身地
1回 天空海 西幕下7 立浪部屋 茨城県

三段目の決まり手「内掛け」で勝った力士

勝利数 四股名 番付 部屋 出身地
1回 山藤 東三段目22 出羽海部屋 岐阜県

序二段の決まり手「内掛け」で勝った力士

勝利数 四股名 番付 部屋 出身地
1回 野島 西序二段63 二所ノ関部屋 大分県

序ノ口の決まり手「内掛け」で勝った力士

該当者無し

令和8年7月場所「内掛け各段敗北数

令和8年7月場所で、決まり手「内掛け」で敗れた力士を各段ごとにリストアップしました。内掛けでの敗北数と番付順になっています。同一成績多数の場合もありますので、上位20名とさせていただきました。

幕内の決まり手「内掛け」で敗れた力士

該当者無し

十両の決まり手「内掛け」で敗れた力士

該当者無し

幕下の決まり手「内掛け」で敗れた力士

敗北数 四股名 番付 部屋 出身地
1回 藤壮大 西幕下11 藤島部屋 和歌山県

三段目の決まり手「内掛け」で敗れた力士

敗北数 四股名 番付 部屋 出身地
1回 安強羅 西三段目20 安治川部屋 岐阜県

序二段の決まり手「内掛け」で敗れた力士

敗北数 四股名 番付 部屋 出身地
1回 添田山 東序二段66 秀ノ山部屋 福岡県

序ノ口の決まり手「内掛け」で敗れた力士

該当者無し

決まり手解説記事一覧

【大相撲の決まり手】小手投げとはどんな技?

この記事では、全82手ある決まり手のうちのひとつ、「小手投げ(こてなげ)」について解説していきます。 大きく6種類に分けられる決まり手のうち、小手投げは上手投げや下手投げと同じ「投げ手(なげて)」に属します。 相撲の基本 … 続きを読む

【大相撲の決まり手】送り出しとはどんな技?

この記事では、全82手ある決まり手のうちのひとつ、「送り出し(おくりだし)」について解説していきます。 大きく6種類に分けられる決まり手のうち、送り出しは引き落としや叩き込みと同じ「特殊技(とくしゅわざ)」に属します。 … 続きを読む

【大相撲の決まり手】送り倒しとはどんな技?

この記事では、全82手ある決まり手のうちのひとつ、「送り倒し(おくりたおし)」について解説していきます。 大きく6種類に分けられる決まり手のうち、送り倒しは「送り出し」と同じく「特殊技(とくしゅわざ)」に属します。 相手 … 続きを読む

【大相撲の決まり手】引っ掛けとはどんな技?

この記事では、全82手ある決まり手のうちのひとつ、「引っ掛け(ひっかけ)」について解説していきます。 大きく6種類に分けられる決まり手のうち、引っ掛けは「引き落とし」や「叩き込み」と同じ「特殊技(とくしゅわざ)」に属しま … 続きを読む