大相撲用語解説。今回は、関取の象徴とも言える道具「明け荷(あけに)」について解説します。
大相撲中継で支度部屋(控室)の様子が映ったとき、力士の後ろに大きな箱が置かれているのを見たことはありませんか?あの箱こそが、力士が「一人前」になった証なのです。今回はその中身や、意外と知らない重さの秘密に迫ります。
この記事の目次
明け荷(あけに)とは
明け荷(あけに)とは、力士の締込(しめこみ)や化粧廻し、私物などを入れるための堅牢な葛篭(つづら)のことです。
その作りは非常に伝統的かつ機能的で、以下のような特徴があります。
- 材質:竹で編み上げられた筐体に和紙を貼り、仕上げに渋(柿渋)と漆を塗って固めています。
- 耐久性:漆で固められているため非常に丈夫で、湿気にも強く、長年の使用に耐えうる構造です。
- サイズ:一般的に「長さ80cm × 幅45cm × 深さ30cm」ほど。
- 重量:中身(化粧廻しや締込など)を入れると、およそ10kgから15kgほどの重さになります。
「明け荷」か「開け荷」か
表記については「開け荷」と書かれることもありますが、縁起が良さそうなことから「明」の字を用いて「明け荷」と記すことが多いようです。
「関取」だけが持つことを許される憧れの証
この明け荷は誰でも使えるものではなく、関取(十両以上の力士)だけが持つことを許されています。
十両に昇進して初めて自分の四股名が鮮やかに書かれた明け荷を持つことができるため、力士にとって明け荷は「一人前の証」であり、最大の憧れなのです。
新十両への昇進が決まると、地元の後援会や同期生などからお祝いとして贈られるのが通例となっています。
横綱・行司における「明け荷」の特殊ルール
基本的には一人につき一個の明け荷ですが、立場や役職によって例外もあります。
横綱は「三つ揃い」で3個持ち
最高位である横綱ともなると、持ち運ぶ道具の量が格段に増えます。自身の化粧廻しだけでなく、土俵入りで使用する「綱」や、露払い・太刀持ちが着用する「三つ揃い」の化粧廻しも収容しなければなりません。そのため、横綱は通常3個程度の明け荷を所有し、付け人たちが手分けして運びます。
行司にも専用の明け荷がある
力士だけでなく、十枚目格以上の行司も明け荷を持つことができます。ただし、中身は装束(軍配や烏帽子など)が中心となるため、力士用のものに比べると一回り小ぶりでスリムな形状をしているのが特徴です。行司にとっても、この明け荷を持てるようになることは大きなステータスなのです。
「明け荷」のまとめ
「明け荷」は、関取(十両以上)だけが使用できる特別な収納箱です。竹と漆で精巧に作られたこの箱には、力士の汗と涙が染み込んだ化粧廻しや締込が収められています。テレビ中継などで力士の背後に置かれた明け荷を見かけたら、それはその力士が厳しい勝負の世界で勝ち抜いてきた「証」であることに注目してみてください。
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