取組の見所である「決まり手」。大相撲には現在これだけの技が存在します。
この記事では、全82手ある決まり手のうちのひとつ、「素首落とし(そくびおとし)」について解説していきます。
大きく6種類に分けられる決まり手のうち、素首落としは叩き込みなどと同じ「特殊技(とくしゅわざ)」に属します。
その文字が表す通り、首を切り落とすかのようなインパクトのある名前と、チョップのような独特のアクションが特徴の決まり手です。
素首落としとはどんな技?
素首落としは、相手が出ようとした瞬間、自分のヒジから手首を「鎌(かま)」のように曲げて、相手の首すじや後頭部を上から下へ叩き落とす技です。
「鎌で首を掻く」かのように、力強く相手の首元へ打ち下ろす豪快な荒業です。
決まり手出現頻度
(ランクC)
平成になって“復活”した決まり手
素首落としは、昭和30年(1955年)の「68手」制定前には存在していた古典的な技でした。しかしその後、似た技である「叩き込み」の中にまとめられる形で一度姿を消します。
それから半世紀近く経った平成13年(2001年)1月場所、決まり手が現在の「82手」に拡大・再編された際に、新しい決まり手の一つとして再び独立し、“復活”を果たしたという珍しい経歴を持っています。
技術的な側面と、決まる場面
素首落としは、相手が頭を下げて低く突っ込んでこようとした立ち合いの瞬間などに使われることが多い技です。
ただし、力士が最初から「素首落としを決めてやろう」と狙って放つケースは多くありません。平成26年(2014年)秋場所で碧山をこの技で倒した横綱・鶴竜が「狙ったわけではない」と語ったように、実際には「叩き込み」にいって手を下ろしたところ、たまたま当たった場所が首や後頭部だったというケースがほとんどだと言われています。
「叩き込み」との決定的な違い
一度は統合されていたことからも分かる通り、別記事で解説している「叩き込み」と非常に似た技ですが、現在では以下の2点で明確に区別されています。
- 叩き込み:「手のひら」を使って、相手の「肩や背中」を叩く。
- 素首落とし:「手首や腕(手首〜ヒジ)」を使って、相手の「首や後頭部」を叩く。
ポイントはどこを叩くかです。素首落としは「首から上」と限定されており、決まり手を判定する上での重要な境界線となっています。
素首落としが決まった印象的な取組
本場所で素首落としが記録された、歴史的節目や珍しい事例を紹介します。
- 九州山 対 前田山:昭和12年(1937年)春場所9日目。気負い立つ前田山が一気に出ようとしたところ、九州山がさっと体を開いて左素首を叩き落としました。前田山は勢い余って土俵際まですっ飛んだと記録されています。
- 若の里 対 武蔵丸:平成13年(2001年)初場所13日目。関脇の若の里が横綱・武蔵丸に対して決めた一番です。これが、新決まり手として復活して記録された「幕内第1号」の記念すべき取組となりました。
- 玉乃島 対 垣添:平成19年(2007年)初場所および春場所において、玉乃島が2場所連続で同じ垣添を相手に素首落としを決めるという非常に珍しい記録が残っています。188センチの長身である玉乃島が、177センチの垣添の首を土俵に押さえつけるようにして決めました。
決まり手解説記事一覧
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